◆外伝・四◆ 〜伏龍と美周嬢〜
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いくつかの取り決めを交わし、第一の用件は終わった。
「ところで周瑜さん。つかぬ事を伺いますが」
「ふむ、何だ?」
協議が終わったせいか、周瑜さんの表情は幾分和らいでいた。
唐突な話をしても、今なら不審に思われる事もないかな?
「何処か、お身体の具合が良くないという事はありますか?」
「質問の意味がわからんな。何故、私の体調など気にするのだ?」
「……実は、ご紹介したい人がいるのですが」
「私にか? それと、私の身体と何の関わりがある?」
鋭い目で、周瑜さんは私を見据える。
ちょっと怖いけど、怯えている場合じゃない。
「は、はい。華佗さんと言う、揚州出身のお医者様なんです」
「華佗?……ふむ」
周瑜さんは、暫し視線を宙に巡らせた。
「それも、土方様のお指図という訳か?」
「そうです」
虚言を弄しても、周瑜さんには通じない。
寧ろ、不信感を煽るだけだと思う。
それならば、正直に話すべきだろう。
「やはり、わからん。土方様には未だ、お目にかかった事もない筈だが」
「そう聞いています。ですが、嘘じゃありません」
「…………」
「…………」
私も、無言で周瑜さんを見返す。
そのまま、数分間、沈黙が続いた。
重苦しい雰囲気は決して好きにはなれないけど、悪事を企んでいる訳じゃない。
ご主人様が、私を信じてお命じになった事、何としても果たさなきゃ。
そして、周瑜さんはフッと息を吐いた。
「……いいだろう。土方様がどのようなおつもりなのか、試させていただくとしよう」
その日の夜。
城下にある、周瑜さんのお屋敷に呼ばれた。
「ここだな、諸葛亮」
「は、はい。あの、華佗さん」
「何だ?」
「……疑問を持たれなかったのですか? ご主人様からのお願いとは言え」
すると華佗さんは、ジッと私を見つめてから、
「俺は医者、患者と聞けば相手が誰だろうと診察するだけさ。それに、土方がつまらん嘘を俺につくとは思わん」
「信用されているのですね、ご主人様を」
「まあな。だが、それは諸葛亮、お前も同じじゃないのか?」
「はい。ご主人様の仰る事に、間違いはありませんから」
「なら、それでいいじゃないか。さ、行くぞ」
「あ、待って下さい〜」
周瑜さんは、私服に着替えていた。
身体の線がはっきりと出ていて、より美しく見えてしまう。
……ハァ、女らしさでは完敗もいいところだよ。
「お前が華佗か」
「ああ。話は諸葛亮から聞いていると思うが」
周瑜さんは頷くと、寝台に横たわる。
「さ、始めてくれ」
「うむ」
華佗さんは、周瑜さんの身体に手をかざす。
時折、その手から光が放たれる。
五斗米道の氣を使った医術、以前にも見た事はあるけど……やっぱり、不思
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