◆外伝・四◆ 〜伏龍と美周嬢〜
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もそうだったけど、人が集まる街という事は、何より治政が上手く行われている証拠だ。
治安については、敢えて確かめるまでもない。
此処にいる甘寧さんもそうだし、孫堅さんの麾下には武に長けた将が揃っている。
そもそも、孫堅さん自身が猛将なのだから当然なんだけどね。
「朱里ちゃん」
懐かしい声に振り向くと、郁里お姉ちゃんがニコニコしながら立っていた。
「お姉ちゃん!」
「ちょっとご無沙汰だったね。元気?」
「うん♪」
郁里お姉ちゃんは、ちっとも変わっていない。
「では郁里。後は任せたぞ」
「あ、はい」
甘寧さんは一礼して、兵士さんと共に去って行く。
「忙しいのにゴメンね」
「ううん、平気。それに、蓮華様から行って来るように言われたの」
また、孫権さんの名前が出た。
「ねえ、お姉ちゃん。孫堅さん、いらっしゃるんだよね?」
「……え? あ、あははは……」
あれ、珍しくお姉ちゃんが苦笑している。
「どうしたの?」
「う、ううん。何でもないよ」
お姉ちゃん、嘘つくの相変わらず下手。
だって、顔に出てるし。
孫堅さんが倒れたとか、怪我をされたとかなら、疾風さんが教えてくれただろうしなぁ。
理由はわからないけど、孫堅さんは今此所にいないらしい。
とにかく、孫権さんにお目にかかるしかなさそうだ。
呉の城内。
謁見の間じゃなく、執務室に私は案内された。
勿論、郁里お姉ちゃんと一緒に。
「久しぶりだな、諸葛亮」
「はい、孫権さんもご壮健のようで何よりです」
「ああ。すまんな、落款が溜まっていてな」
確かに、卓上には竹簡が山と積まれている。
真面目な孫権さんは、その一つ一つを丁寧に片付けていた。
「あの、孫堅さんは?」
「母様か。……そうだな、今回の用向きが母様に会わなければ果たせないか」
「……はい」
ここで嘘をついても仕方がない。
ご主人様の命は、孫堅さんとの協議なのだから。
「山越の事であれば、私が話を聞くように言われていてな。本来なら雪蓮姉様がやるべき事なのだが……」
「は、はぁ……」
「……母様なら、今頃番禺にいる筈だ」
「え? ど、どういう事ですか?」
「わからん、と言ってしまっては恥なのだが……」
孫権さんは、大きな溜息をついた。
「何事かが起こる、と言ってな。飛燕と僅かの兵を連れて行ってしまったのだ」
「どういう事でしょう? まさか、交州で何か起こると?」
「いや、それなら歳三に知らせているだろう。母様がその程度の事、理解していない筈がない」
「ですよね……」
「全く、仮にも州牧なのだから、勘働きのままに動くのは自重していただきたいのだが……」
孫権さんは、言葉を切ると表情を改めた。
「山越の事だが、委細は冥
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