第三章
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「猫、子猫の世話ってな」
「中々大変だろ」
「人間の子供も大変だっていうけれどな」
「ああ、猫だってそうだよ」
「そうだよな」
「そうさ、だから宜しくな」
「それじゃあな」
李は実際に文天祥の世話をはじめた、使い魔としてやるべきことも教えていったがそれ以上にだった。
彼を育てていった、食事もトイレも爪とぎも躾もだ。
全部した、それでだった。
彼は次第に成長していった、それと共に使い魔としての仕事も覚えていったがその中においてだった。
ふとだ、王と一緒に飲みながらこんなことを言った。
「何かどっちがご主人かです」
「わからないか」
「態度も大きいですね」
「猫だからな」
王は紹興酒を飲みつつ答えた。
「だからな」
「あいつは態度が大きいんですね」
「わしの使い魔もだぞ」
「ああ、あの灰色の猫ですね」
「名前はヘンリーっていうな」
「何でイギリスの名前なんですか」
「気分でつけたんだ」
その名前をというのだ。
「その時にな」
「そうですか」
「ああ、そしてな」
王は今度はつまみの魚を揚げたものを箸で実を取って食べつつ言った、妻が作ったものだ。李にもそれを出している。
「猫はな」
「ああした生きものってことですね」
「態度はでかいからな」
「もう何をしても感謝しないですね」
「言えば命令を聞くからな」
「だから使い魔に使えますね」
「ああ、しかしな」
それでもというのだ。
「凄くな」
「ああしてですね」
「自分勝手な生きものでな」
「態度が大きいんですね」
「だからな」
それでというのだ。
「そうしたことを頭に入れてな」
「そうしてですか」
「使い魔として使っていけよ」
「わかりました」
李は王のその言葉に頷いた。
「そうさせてもらいます」
「そうしていけよ、お前がご主人だからな」
「そういうことで」
「大人になったらな」
つまり成猫になればというのだ。
「その時はな」
「もうですね」
「ああ、お前の教育はいいしな」
「だからですか」
「きっといい使い魔になるからな」
「この調子で、ですね」
「やっていくといい」
王はまた紹興酒を飲んだ、それでまた言うのだった。
「仲良くやっていけよ」
「そうさせてもらいます」
「それじゃあな、あとな」
「あと?」
「猫は変な呪いには使うな、というか呪術はな」
こちらの術はというのだ。
「絶対にじゃ」
「行ってはいけませんね」
「だからわしも教えていない」
その呪術をというのだ。
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