◆外伝・参◆ 〜白蓮、奮闘す?〜
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「公孫賛殿。この辺りの地図を見せて欲しいのです」
「ああ。それなら、これだな」
私は、卓上に地図を広げた。
一応、これでも幽州牧、大抵の地図は揃えているつもりだ。
……まぁ、噂じゃ、歳三のところにいる軍師は、もっと精密な地図を持っているらしいんだけど。
ないものねだりとは言え、羨ましいよな、やっぱ。
陳宮はジッと、地図を眺めている。
「何か思いついたか?」
「そうですなぁ。この地形ならば、このまま攻めかかれば勝負がつくでしょうな」
「このまま? でも、いくら賊でも数が違うだろ?」
「勿論、ただ単に突撃するだけでは、此方の損害も馬鹿になりませんな。ですから、一工夫するのです」
「一工夫ね……。わかった、お前さんの策、聞かせて貰おうか?」
仮にも軍師を名乗っているんだ。
きっと、私が考えるよりもいい策を思いついたに違いないさ。
で。
「これで全部ですな?」
「ああ。けどさ、葦毛の馬ばかり集めてどうする気なんだ?」
陳宮は、小さな胸を反らしながら、
「それは後のお楽しみですぞ。それよりも、賊軍に動きはありませんな?」
「あ、ああ。どうやら、此方の出方を見るつもりのようだな」
「ならば問題ありませんな。後はこのねねと、恋殿にお任せあれなのです」
「それはいいんだが……。私は、どうすればいいんだ?」
私としては、当然の疑問だった。
「む? 公孫賛殿は総大将ですぞ?」
「いや、そりゃそうだけど。それが、どうかしたのか?」
「もしや、ねねの策を信じていないのですか? それなら心外ですぞ」
むくれる陳宮。
「いや、そうじゃないって。私は確かに総大将だが、そんなに頼りないのか?」
「……は?」
「いや、だからさ。……そりゃ、私は呂布のように天下無双でもないし、陳宮みたいに策士でもないさ。普通だから、大人しくしてろ、って事なんだろ?」
ああ、私は何をやっても『普通』止まりさ。
政務も、戦も、人望も。
歳三や曹操みたいにはなれっこない。
歳三は、そんな私を買ってくれたけど……でも、他の連中から見ればやっぱり、特徴がない奴ってなるんだろう。けど、私だって剣は使えるんだし、馬術だってそれなりに自信はある。
言い返そうと思っていた時、それまで黙っていた呂布が口を開いた。
「……ちんきゅー。公孫賛も、一緒に戦う」
「恋殿。しかしですな、戦は総大将が討ち取られたら負けですぞ。ねねは、賊軍相手だからこそ、万全を期したいのです」
……何か、サラッと信用されてないって言われている気がするぞ。
「……でも、仲間外れはダメ。それに、公孫賛、そんなに弱くない」
「むむむ、しかしですな」
「……ちんきゅー」
ジッと、呂布に見つめられた陳宮、ハァと溜息を一つ。
「仕方ありませんな。
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