◆外伝・弐◆ 〜麗羽の一日〜
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れてるんだ。やるっきゃないさ」
「はぁ……。わかりました、行ってきます」
がっくりと、肩を落とす斗誌。
その背を軽く叩き、嵐は執務室を出て行った。
「申し訳ありません、袁紹様。嵐は、どうにも口が悪くて」
「田豊さんが謝る事はありませんわ。……口が悪いと言うのなら、ずっと前から似たような方がおりますもの」
「……姫。もしかして、あたいの事ですか?」
猪々子は、むくれてみせる。
「他に誰がいまして?」
「酷いなぁ、姫も。あたい、これでもちゃんと敬意は払ってるつもりなんですよ?」
「……それはともかく。田豊さん、渤海郡の事はお二人に任せるしかありませんけど。他の郡については、太守さんはそのままですわね?」
「はい。ただ太守様、いえ歳三様はご自身の分を超えた真似はしたくない、と、あまり他の郡には関わらなかったので……僕も正直、あまり面識があるとは言えませんけど」
「では、一度皆さんに集まっていただく必要がありそうですわね」
「そうですね。でも、それは嵐が戻ってからの方がいいでしょう。韓馥様の下にいた奴ですから、接点が少しはあるでしょうし」
「……そうしますわ。ふう」
「……では、僕は魏郡の資料を纏めてきますので。また後ほど」
後に残ったのは、麗羽と猪々子。
「ねぇ、姫。いきなりは無理じゃないですか?」
「何がですの、猪々子さん?」
「いや、何もかもですよ? 政務だって殆ど斗誌に丸投げしていた姫が、歳三アニキみたいに何でもこなせる訳ないじゃないですか」
「…………」
「そりゃ、あたいだってやれる事はやりますけど。やっぱ、姫はデーンと構えて、田豊と沮授に全て仕切って貰いましょうよ」
だが、麗羽は猪々子の言葉に、激しく頭を振る。
「それは出来ませんわ。お師様の抜けた冀州を、庶人の皆さんをちゃんと守ってみせると。それが、お師様との約束ですもの」
「意気込みはいいんですけど……。なんか、今の姫、背伸びし過ぎですって、絶対」
猪々子は、率直に言う。
主従関係が長いという事もあるのだが、猪々子はあまり言葉を選ばない。
この辺りが不敬と取られかねない一因でもあるのだが、麗羽もそれを咎め立てはしない。
「背伸びでもしなければ、わたくしの今までの事は取り返せませんわ。それよりも、猪々子さん。お願いがありますの」
「え? あたいにですか?」
「ええ。聞いて下さいますわね?」
麗羽の気迫に、猪々子はただ、頷く事しか出来なかった。
ドサリ、と麗羽は寝台に身を投げ出す。
州牧としてすべき事はまだこれからだが、それ以前に魏郡太守としての仕事が待ち構えていた。
歳三の不在中、愛里らが代理として処理していたとは言え、所詮は代理。
正式な落款が必要な書簡が、膨大な山となっていた。
無論、全てただ
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