◆外伝・壱◆ 〜華琳の憂鬱〜
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……という訳。
賊を引きつけた私自身の隊に、多少の被害は出たけど……この程度なら、想定内ね。
季衣が私の傍で頑張ってくれたお陰もあったし。
「華琳様、只今戻りました」
春蘭と秋蘭が、戻ってきた。
勿論、二人とも無事のようね。
「荀ケの策が決まりましたね」
「当然よ。あの程度の連中に、私の策を見破れる訳がないもの」
確かに、有言実行にはなったわね。
試されたのは気に入らないけど、この娘の才は本物。
「荀ケ」
「はっ!」
「貴女の真名は?」
「桂花、です。曹操さま」
「わかったわ。私の事も、今後華琳、と呼びなさい」
私がそう言うと、桂花はパッと顔を輝かせた。
「で、では?」
「その才、存分に発揮なさい。それで、私を試した罪は、赦してあげましょう」
「ありがとうございます!……これで、あの男を見返してやれるわ」
小さな呟きだったけど、確かに私の耳には聞こえた。
……まぁ、いいでしょう。
後で、確かめさせて貰うわ。
陳留に戻った、その夜。
私は、桂花を私室に呼んだ。
……勿論、抱いてあげる為にね。
ふふ、だって可愛い娘は、その為にあるべきですもの。
もし拒むなら無理強いはしないつもりだったけど、桂花の方もそれを望んでいるみたいね。
「桂花。何故、私が貴女をここに連れてきたか。……わかっているわね?」
「はい、華琳様」
いい表情をするわね。
……でも、その前に。
「一つだけ、質問するわ。正直に答えなさい」
「はい! 何なりとお尋ね下さい」
「賊の討伐の後だけど。……貴女、あの男を見返す、って言っていたわね?」
「え?」
「貴女は独り言のつもりだったのでしょうけど、私にははっきりと聞こえたの」
「そうでしたか。はい、確かにそう言いました」
「それで。その男、というのは誰なのかしら?」
この時代、名のある人物と言えば殆どが女。
地位があるのは何進や孔融、後は死んだ韓馥ぐらいね。
……勿論、歳三は別格。
さて、どんな名前が出てくるのかしら?
「……華琳様はご存じかと思いますが。冀州の魏郡太守に、土方という者がいます」
……まさかと思うけど、歳三の事を……?
「私は、以前同じく冀州の渤海郡太守、袁紹さまにお仕えしていました」
「麗羽に?」
「はい。袁紹さまは、名家の出を常に意識されておられます。それで、冀州牧の座をお望みでした」
麗羽なら、あり得る話ね。
「大方、私への対抗意識でしょう?」
「その通りです。ただ、冀州には武功著しい土方が赴任しています。袁紹さまには、障害となりかねません」
それは考え過ぎね。
歳三は、そんな地位に執着するような男じゃないもの。
「それで、袁紹さまの財を以て力を付け、土方を屈服させるよう、私
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