◆外伝・壱◆ 〜華琳の憂鬱〜
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に応募してきた者は?」
「はっ。紫雲と二人で選考してみてはいるのですが……」
「……使えるのが、いない」
申し訳なさそうな二人だけど、別に彼女らを責めるつもりはない。
私は確かに才ある人材を愛するけど、だからと言って手当たり次第は好まない。
それがわかっているからこそ、秋蘭も紫雲も、頭を悩ませているんでしょうね。
……とは言え、本来武官の秋蘭にまで、いつまでも文官の役割を担わせたままでいいとは思わない。
春蘭みたいに何も出来ないのも困りものだけど、それでも限度があるわ。
隣の芝生は青い、なんて言うつもりはないけど、歳三がやはり、羨ましいのも確かね。
数週間後。
黄巾党の残党らしき集団が、州内の村を襲おうとしていると報告が入った。
無論、私の治める州で、賊如きに好き勝手をさせるつもりはない。
「それで、数は?」
「……約五千、と」
紫雲がいつもの調子で告げると、秋蘭が難しい顔をした。
「賊軍としては、少々大規模ですね」
「何を暗い顔をしているのだ、秋蘭? たかだか五千、しかも烏合の衆ではないか。私と季衣で一揉みにしてやれば良い。なあ、季衣?」
「はい、春蘭様!」
その様子を見て、私は秋蘭と顔を見合わせ……盛大にため息をつく。
「……あのね。春蘭や季衣が一騎当千なのは勿論わかっているけど、それじゃ駄目よ」
「何故ですか、華琳様?」
季衣が、首を傾げる。
「……流琉。今、私が動員出来る最大の兵数、わかるかしら?」
「あ、はい。この陳留を始め、守備に必要な数を差し引いて、ですよね?」
「そうよ」
流琉は少し考えてから、
「……五千、ですね」
正答ね。
秋蘭と一緒に居る事が多いせいか、この子はある程度、武一辺倒じゃない。
勿論、まだまだ秋蘭には遠く及ばないでしょうけどね。
「その通りよ。これでわかったかしら、季衣?」
「……ええと。春蘭様、同じ数で戦う事になりますよね? 華琳様は、それでは駄目だと仰っていますけど」
「うむ。華琳様はお優しい方だ、私達の身を案じての事であろう。だが、鍛え上げた五千と、烏合の衆五千、最初から勝負になどならん」
「……春蘭。貴女、まだわかっていないようね?」
ちょっと、頭痛がしてきたわ。
「は? しかし、同数ならば兵の練度で勝負が決まるかと」
「勿論それはそうよ。でもね、相手が諸侯ならいざ知らず、今の私は州刺史で、相手は賊軍。それに同数の兵で挑むと、どうなるかしら?」
「ですから、私と季衣がいれば」
「春蘭! いい加減になさい!」
思わず、一喝してしまう。
「か、華琳様?」
「いい? これは、賊軍にただ勝てばいいという問題ではないのよ?……貴女も一軍の将、この程度理解しなさい」
目を白黒させるばかりの春蘭。
「
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