◇閑話・弐◇ 〜休暇大作戦〜
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ってるじゃないか」
「……すみません。何の事か、本当にわからないのですが」
すると、嵐さんは肩を竦めて、
「決まってるじゃんか。旦那を慕ってる人達の事さ」
「慕って……あ」
やっと、腑に落ちた。
そうか、歳三さんには……。
「わかったようだね」
「……はい」
稟さんに風さん。
最初から文官志望のわたしとは違い、軍師という重責を見事に果たされている。
星さん、愛紗さん、疾風(徐晃)さん。
武を囓っているわたしから見ても、全員が超一流の武人。
歳三さんの軍が精強で鳴らすのも、当然だと思う。
その全員が、歳三さんと深い仲……と言うか、男女の仲になっている。
誰一人としてそれを隠そうともしないし、むしろ誇りにしている雰囲気すらある。
確かに、これだけ女性優位の世で、あれだけの男性を探す方が至難の業だと思う。
……それだけに、歳三さんに休暇を、となったら、皆さん譲らないだろう。
かと言って、軍師二人に武将三人が一度に休暇など、今のわたし達に許される事じゃない。
第一、懸命に頑張っている文官や兵の皆さんが納得しないだろうし。
「でも、どうせ休んでいただくなら、まとまった休みじゃないと意味がないですよね」
「そうですね。一日だけだと、疲れを取るというのは厳しいでしょう」
「けどなぁ。旦那の事だ、おいら達が休んでもいないのに休めぬ、とか言いそうだし。それに、さっきの問題もあるし」
喫緊の問題なのに、解決方法が見つからない。
「あれ? どうかしたのか、三人揃って」
そこに、彩(張コウ)さんが顔を覗かせた。
「ちょっと相談事がありまして。彩さんこそ、こんな時間にどうかなさいましたか?」
「ああ。実はな、こないだ地震があっただろ? 被害状況を調べている最中、黎陽県で温泉が湧いたって報告が入ってな」
「温泉、ですか……」
「ああ。かなりの量らしくてな、ただ……」
「彩さん、何かあったのかい?」
「どうもそれが、濁ってるらしくてな。住民の訴えで県令が調査に行ったんだが、処置に困って判断を仰ぎたいって、使者が来たんだ」
「それなら、その場所を封鎖すれば済む事ですよ。僕が返答してきます」
「あ、待って下さい」
ふと、思い付いた事があるわたしは、元皓さんを止めた。
◇視点:稟◇
「温泉か。ただし、迂闊に近寄れない状態なのだな?」
「はい。県令は、そう申しているそうです」
愛里から話を聞いた二日後。
私は歳三様、それに疾風と共に視察に出向いていた。
急げば馬を飛ばせば指呼の距離、でもゆるゆると進んで行く。
兵も最小限だけ。
無用に大軍を催せば、費えも馬鹿にならないし、準備にも手間取る。
急がないのも、兵と馬を無意味に疲弊させない為。
特に馬は高価
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