第六十六話 ヒューロー湖畔の戦い・中編
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しよう……回り込んで拾うには無理がありすぎる)
そんな事を、目の前のサーベルクーガーが黙って見ている訳が無い。
「やるしかない……!」
と、アニエスは腰からナイフを取り出し、中腰で構えた。
「アニエス逃げろ!」
「アニエス!」
デヴィットとヒューゴの二人が、アニエスに声を掛けた。
(アイツに後ろを向けたら間違いなく殺される……それなら!)
アニエスはサーベルクーガーに向け走り出した。
「あっ、馬鹿!」
ヒューゴが驚きの声を上げた。
駆けるアニエスは、右手に持ったナイフをクルリと回し、刃の部分を中指を人差し指で挟んだ。
「……ふっ!」
手首のスナップを効かせて、ナイフをサーベルクーガーへ向け投げつける。
『シャラクサイ!』
サーベルクーガーは、投げられたナイフを自慢の牙で弾き返す。
だが、その僅かな隙を作るのが、アニエスの狙いだった。
「はぁっ!」
十分な助走を得たアニエスは、大地を蹴って跳び上がると、体操競技で言う跳馬の様にサーベルクーガーの頭に手を付き、サーベルクーガーの上空を跳び越えた。
しかも前転跳びのおまけ付きだ。
『ナニィ!?』
驚くサーベルクーガー。空中のアニエスは不恰好ながらも着地、だが勢いを殺せず地面に転がり込んだ。
アニエスは転がりながらも地面に落ちたG3を回収し安全装置を解除、銃口をサーベルクーガーに向けた。
振り返ったサーベルクーガーは、既に構え終わったアニエスに一瞬驚いたように身体をビクリと震わせたが、驚きよりも殺意が上回ったようで、アニエスの頭を噛み砕こうとした。
『ガアアアアッ!!』
「あああああ!!」
パパパパパパパパン!!
吼えたアニエスは、G3をフルオートで発砲し、20発全ての弾丸はサーベルクーガーの口から体内へ入り、柔らかい肉を突き破って致命傷を負わせた。
『……グガァ』
ボタボタと、口から大量の血を吐き出したサーベルクーガーは、一声鳴くと横倒しに倒れて動かなくなった。
「お、おおおーーーー!」
歓声が上がり、デヴィットが走りながらアニエスに声を掛けた。
「見事だアニエス。怪我は無いか?」
「大丈夫です」
アニエスは、尻餅をつきながら応えた。
「早いとこ、アワサを助けに行こうぜ」
一方のヒューゴは起こした軍用車両の点検を済ませ、既に運転席に乗り込んでいた。
「デヴィット隊長、ヒューゴさん」
「手を出せ」
「ありがとうございます」
デヴィットは、アニエスに手を貸して起き上がらせた。
精霊魔法の効果も切れ、触手の様に絡み付いていた植物達は、通常の草花に戻
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