第六十六話 ヒューロー湖畔の戦い・中編
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巨大な熊は、爪を振り回し原住民の密集している所に乱入し、原住民を二人切り裂いた。
「あの毛むくじゃら。トロル鬼並みのでかさだ!」
「我々も戦闘に参加しよう。アニエス、銃座変わってくれ。私は魔法で援護する」
「了解!」
アニエスは、助手席から後部座席にスルリと移動し、M2重機関銃の銃座に着いた。
M2の照準を熊に向ける。
「撃ちます!」
「アース・ハンドで敵の動きを止めて……よし、撃て!」
パパパン! パパパン!
50口径の大口径弾は、アース・ハンドに足を取られ身動きの取れない熊の剛毛とその下の肉を紙切れの様に削ぎ取った。
「うう、反動が……」
猛訓練を受けたとはいえ、15歳の少女に重機関銃の反動はきつかった様だ。
「アニエス、辛いなら代わるか?」
「いえ、行けます!」
デヴィットの言葉を突っぱね、アニエスはオーク鬼に照準を当て引き金を引いた。
パパパン! パパパン!
再び銃声が鳴り、オーク鬼は醜い肉塊に変わった。
「森の中に突入するわよ!」
手綱を器用に操り、アワサは原住民達に命令した。
「俺達も行きましょう」
「よし、我々も続くぞ」
アニエスらを乗せた軍用車両は、原住民達に続いた。
……
アニエス達が、森の中に入って数時間。
亜人達が現れることも無く、順調に前に進んでいた。
そして、高い雪山とその麓に巨大な湖の広がる地域に到着した。
「ここが敵の本拠地?」
「ウェンディゴは何処に居るんだ?」
軍用車両の上で、アニエスとヒューゴは辺りを見渡した。
湖面は静かに波打ち、敵の存在など感じられなかった。
「そうでもない。見ろ」
デヴィットは二人に、一枚の紙を渡した。
そこには、ウォーター・ビットから送られてきた湖周辺の地形が描かれていて、敵を示す赤い点が湖の周辺に所々見られた。
「アワサを呼んできてくれ。原住民ともこの情報を共有すべきだろう」
「了解」
アニエスはクルマから降りるとアワサの所へ走って行き、アワサの馬と共にやって来た。
「どうしたの?」
「情報を共有しようと思ってね。敵の配置だ」
そう言ってデヴィットは、周辺の地図をアワサに見せた。
「……全ての敵を倒すのは効率が悪い。ウェンディゴを探し出した方が良いと思うが」
「そもそも、ウェンディゴって何なの?」
外野で聞いていたアニエスが会話に入った。
「私もデガナヴィダから聞いただけだから、詳しい事は分からないけど。ウェンディゴ自体はそれほど力を持たない弱い精霊だそうだけど、取り憑かれた者は人間が食べたくなって仕方が無くなるそうよ」
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