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側溝の中から
第一章

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                側溝の中から
 黒崎聡子は茶色の髪をポニーテールにしていてはっきりした面長の顔で目が印象的な二十代のOLだ。背は一六四位ですらりとしたスタイルだ。普段着はズボンである。
 その彼女は会社に行く時に通勤途中の道で猫それも子猫の鳴き声を聞いた、だがその声を聞いてもだった。
 猫はいない、それで気のせいかと思ってその時はそのまま会社に出勤し。
 仕事が終わると帰った、それでだった。
 帰り道夕方のそれを進んでいた、会社は近くになり季節は日の高い頃だったのでまだ外は明るかった。その中で。
 また猫の鳴き声を聞いた、それで周りを見回していると。
 もう一人の女性も見回していた、それは聡子と同じアパートそれも隣の部屋に住んでいる普照牧子だった。黒髪をおかっぱにした女性で年齢は聡子と同じ位の年齢だ。顔立ちは穏やかなもので背は一六二程だ。楚々としたスタイルでロングスカートが似合っている。
 その牧子を見て聡子は彼女に声をかけた。
「普照さんも聞こえたの」
「ええ、猫の声がね」
「そうなのね」
「声はするけれど」
 それでもというのだ。
「姿は見えないわね」
「子猫の声よね」
「ええ、けど」
 それでもというのだ。
「声はしてもね」
「姿は見えないわね」
「何処にいるのかしら」
 二人で周りを見回しつつ話した。
「一体」
「わからないわね、いや」 
 聡子はここでだった。
 二人が今いる道の側溝を見た、そこのコンクリートの覆いの手を入れる部分からだ。
 白い猫の手が見えた、それで聡子は牧子に言った。
「あそこ見て」
「あっ、猫の手が見えるわね」
「前足よね」
「うん、そうね」
「じゃああの猫がね」
「声の主ね」
「そうね」
 聡子は牧子の言葉に頷いた、そしてだった。
 二人はその溝のところに行った、すると。
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