ラーメン・ギルド(異世界ラーメン屋2)
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いた時に根っこの周りをボワボワ覆っているアレっぽい。そして動くたびに土くれを落とす。頭のてっぺんにそびえ立つ辮髪のようなやつは、葉のように見える…ううむ、これは…。
マンプラント…そうか、植物人間か…。
そんなのも居るんじゃ、どのみちベジスープも駄目じゃん…。
「待ってたぞ!」
「マンドラゴラ系のマンプラントか。じゃ、バッチリじゃん!」
あとリザードマンが来て適当に何か食って帰ったらもう店仕舞いしよう…閉店の看板を出す為に腰を浮かせたその時、弓を背負ったリザードマンと共に採掘帰りっぽいドワーフの集団がドヤドヤと入って来た。既に何処かで一杯引っ掛けているのだろう。〆のラーメンを食いに来たらしい。
「主人、やっとるかの!」
赤ら顔を7つ並べて、パリッパリに乾いた泥を撒き散らしながらドワーフが入って来た。少し寸詰まりだが、雰囲気的には現場帰りのおっさん集団と大差ない。これでニッカポッカ履いてたら完璧に現場のおっさんにしか見えない。俺はまた『やってますよ』と返事をして、追加注文のチャーシュー丼をカウンターに上げた。ドワーフ集団を皮切りに、再びオークの集団、オーガの二人連れ、半魚人とリザードマンの複合パーティーが連続で入って来た。
俺の心は、静かに折れていた。
折角ファンタジーの世界で店を開いているというのに、俺の店にはおっさん属性の種族しか入って来ない。店の中に充満するのは凝縮されたおっさんの匂いだ。こっちに来てから店内で、おっさんしか見ていない気すらする。たまに『向こう側』から逃げて来た人間も入ってくるが、これもまた不思議なくらいにおっさんだらけだ。何故その年になって、異世界に逃亡しようと思ったのだお前らは。一人くらいは女の子とか居ないのか。
「ささ、上座においでよピヨネッタちゃん」
「わしらのパーティーの紅一点じゃけぇのお」
紅一点という言葉に反応して、がばりと顔を上げたが、ドワーフの中にそれらしき人物は見当たらない。…だがおっさんの群れの中心に、少し髭が薄めのおっさんがいる。そいつが「やーだー」とか云いながらくねくねしている。
―――おっさんじゃねぇか!!メスもおっさんじゃねぇか!!!
厨房の片隅にしゃがみ込み、俺は少し泣いた。そういえばドワーフは女も成人すると髭が生えるとか聞いた事がある。となるとこの3カ月余りの間に『女の子』も出入りしていたのかも知れんが、俺にとっては全員おっさんだ。
独立・開業する前。俺は某有名ラーメン店で修業を積んでいた。ラーメン屋だからメインの客層は20〜40代の男が多めなのだが、その男どもに連れられて、かわいい女の子の姿もちょいちょい見られたものだ。そういう子が自分もラーメン好きになって一人でも入ってくるようになり、友達も連れてくるようになり…。
もちろ
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