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俺の四畳半が最近安らげない件
ラーメン・ギルド(異世界ラーメン屋2)
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慣れてしまった。


ていうか、うちの客はこんなムサい種族ばっかりなのだ。


異世界の華であるエルフとかフェアリーは小麦とか花の蜜ばっかり食っている種族で、ラーメンみたいな臭くて不健康な食べ物には見向きもしない。意外にも真っ先に集まったのは、最も原料に近いんじゃないかと思われるオーク族の皆さんだった。
客層的に、さすがに豚骨はまずくないか、と考え、最初は魚介系ラーメンで開業したが、俺は重要な見落としをしていた。


―――この店には半魚人も来るのだ。


マーマンとか呼ばれる彼らは割と立派な足を持っていて、普通にそこら辺をうろついているし、店にも入ってくる。そいつらが時折厨房の方を覗き込んで『ん?ん?』みたいな顔をする。…云わずもがなだが、鳥人も居る。客層の事を気にしていたら魚介も豚骨も鶏も使えない。かといってマクロビ系ベジスープラーメンなんか出したら暴動が起きかねない。ここの客は『ラーメン』に飢えているのだ。…魚介出汁で始めたラーメンだったが『脂っ気が足りねぇよ』という客の声により、結局、魚介と豚骨の複合出汁になった。
「旨ぇ…なんか、懐かしい味なんだよなぁ、これ」
「ああ…お袋の匂いがするな」
「お袋の味だよなぁ…」
………やめろよリアルにお前らのお袋の味かも知れねぇんだから。
「主人!チャーシュー丼も追加な!」
………ああ、罪悪感が抜けねぇ………。
「酒も飲みたいなぁ…あー、でも今日はだめか」
オークの一人が西側の壁に広く設置されたコルクボードを見上げた。様々なギルドのメンバー募集や採掘・採集依頼のメモが乱雑にピンで留められて散らばっている。彼らの募集メモも、この中にあるのだ。…俺のラーメン屋は所謂、武闘派ギルド中心の情報交換の場にもなっているらしい。
「メンバー候補、どんな奴だっけ」
「うちのギルドは遠距離攻撃系と回復系が弱いからな。…お前もそろそろ、接近戦に専念したいだろ」
赤い兜をかぶったリーダーらしきオークに話しかけられ、白い胴着に身を包んだモンク僧のオークが深く頷いた。彼はこのパーティーの回復担当なのだ。…辛うじて回復魔法がちょぴっと使えるが基本的には武闘派らしい。
「応募があったのは、リザードマンのアーチャーと…マンプラントの白魔道士らしい」
………マンプラント!?なにそれ、初めて聞く種族なんだけど!?
「…マンプラント…あいつら、ちょっとムラがあるんだよな…」
「そっちは募集メモじゃなくて≪ギルド・ラムダ≫の紹介だ」
「なら確かなスジだな」
彼らの言葉が終わるや否や、ちりりり…と控えめな音をたてて引き戸が動いた。そして細く開いた隙間から、木の根のようなものがにょろりと覗き、引き戸を押し開く。…洞のように虚ろな目をした人っぽいものが現れた。全身を毛細血管のように覆うものは、木を抜
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