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魔法絶唱シンフォギア・ウィザード 〜歌と魔法が起こす奇跡〜
無印編
第54話:何処までも天高くヘ
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遂にこの日がやって来た。そう、ツヴァイウィングのコンサートだ。
翼の負傷によりご無沙汰となっていた、ツヴァイウィングのコンサートが漸く開催される事になったのである。会場は既に多くの観客で溢れており、事前にチケットを貰っていた未来は会場入りして席についている。
「ツヴァイウィングのコンサートかぁ。あの時は行けなかったけど、今度は!」
まだ時間はあるが、それでも楽しみで仕方ないのか奏と翼の出番を今か今かと待ち侘びている。
そんな彼女は、一つ疑問に思っていることがあった。
未来が座っている客席のすぐ隣にある2つの席の席が何時まで経っても人が来ないのだ。
片方は響だ。以前翼・奏の2人に貰ったチケットは、2人が隣り合った席になっていた。その隣にあるもう一つの席については知らないが。
もう既に客席はほぼ満員で人が居ない所を探す方が難しいレベルだと言うのに。
「もうすぐ始まっちゃうのに、響ったら何時になったら来るんだろ?」
未来が親友の事を心配している頃、楽屋で出番を待っている奏はもう一つの空いている席に座る予定の人物と電話していた。
「あぁ、もうすぐ始まるよ。そっちはもう来たのか?」
『会場入りはまだだけど、奏達の出番には間に合わせるよ。奏の生歌、楽しみにしてるぜ!』
「遅れたらただじゃおかないからな?」
一見すると軽い感じで、それでいてよく聞けば念を押すように奏が告げると、背後に魔法陣が現れそこから颯人が右腕と上半身の一部を出して奏の後頭部をやや乱暴に撫でた。
「おわっ!? いきなり後ろに出るなッ!」
「ワリィワリィ。心配すんなって、こっちの用事さっさと済ませるからよ」
そう言って颯人は再び魔法陣の中に引っ込んでいった。彼が引っ込むと、同時に魔法陣も消える。
「まったく、もう」
颯人が消えた所を見ながら小さく笑みを浮かべると、奏は携帯を脇に置いた。その表情には、彼女にしては珍しく緊張しているのが見て取れた。
「颯人さんに歌を聞かれるの、そんなに緊張する?」
普段とは違う奏の様子に当然のように気付いた翼が問い掛けると、奏は苦笑して頬をかいた。
「緊張してないって言ったら嘘になるよ。颯人に直に歌を聞かれるのなんて初めての事だし、颯人はアタシの歌を好きだって言ってくれた。期待に応えたいって、そう言う気持ちは確かにある」
だがそれ以上に、奏は奏で今までのコンサートとは違う高揚感を感じていた。颯人に自分の歌手としての姿を見てもらえる、戦いとは別の自分の姿を見せる事が出来る。
その事が、どうしようもなく奏の心を昂らせていた。最早ジッとしている事も難しく、抑えきれない昂りが武者震いとなって表れた。こんなに気分が高揚したのはいつ以来だろうか。
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