暁 〜小説投稿サイト〜
Fate/magic girl−錬鉄の弓兵と魔法少女−
A's編
第六十二話 夜明けの密会と平穏な放課後
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君のお茶で喉を潤して、パウンドケーキを手に取る。
 一口食べてすぐに分かった。

「これってオレンジ?」
「ああ、みかん類は今がシーズンだからな」

 フェイトちゃんの言葉に頷く士郎君。
 士郎君は旬の果物を使ったお菓子をよく作る。
 士郎君曰く「旬のものを使うのが一番おいしい」とのこと。

「あれ? でもパウンドケーキってしっとりさせるために時間がかかるんじゃ」

 お母さんが作っているのを見た事があるからそんな事を思ったけど

「昨日はアリサやなのは、フェイトが帰ってからもここにいたからな。
 その間に準備してた」

 さ、さすが士郎君。

「昨日のうちに準備するってすごいわね。
 ていうか今日、すずかの家に集まるってわかってたの」
「昨日はアリサとすずかはバイオリンで早めに解散したが、今日は稽古も塾もない。
 なら昨日の映画の続きを見るのはおおよそ予測できていた」

 アリサちゃんの言葉に予測できて当然といわんばかりの士郎君。
 なんだかかっこいい。

「なんですずかのはともかく、私の塾やお稽古の予定を知ってんのよ」
「俺達と遊んでいて間違って遅刻なんてさせるわけにはいかないし、おやつを作る上で人数がわかった方が作りやすいんだ」
「ま、まあいいわ。
 昨日の映画の続きを見ましょう」
「そうだね」

 そんな事まで知ってるんだ。

 士郎君のアルバイトの予定を知っているアリサちゃんもすごいけど、私達の予定も知っている士郎君もすごい。
 そんな事に驚きつつ、始まった映画を紅茶とお菓子を堪能しつつ楽しんだ夕方なのでした。
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