ターン34 退路なきエンターテイメント
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……」
不意な言葉に信じられないものを聞いた、といわんばかりの顔つきで、頭を起こして糸巻をまじまじと見つめる。あいにく当の糸巻はそんな鳥居に背を向けており、両者の視線が合うことはなかった。
「もちろん、アンタが兜の社長にやったことなんかの罪が消えるわけじゃねえ。それでもアタシがこう言っとけば、多少は減刑を考える考慮材料ぐらいにはなるはずだ」
「でも、俺」
「アンタが今までやってたのは『アタシが上官命令で行かせた潜入捜査及び工作』だ。他に何も言うことはねえ」
「糸巻……さん……」
半ば呆然とその名を呼び、さらに何かを言いかける鳥居。しかし、その言葉よりも早く第三者の声が部屋に響いた。
「麗しき上司と部下の信頼関係、ですか?なかなかの三文芝居でしたが、お涙ちょうだいは……特に演者に貴女がいると思うだけで、私は虫唾が走る性質でして」
「痺れを切らしてラスボス様のご登場か、巴?って、おいおい……」
その声の主は、紛れもなく巴光太郎。しかし、そこに現れたのは1人ではない。それを見た糸巻が、思わず呻いて頭を抱えた。
彼が乱暴に襟を掴んだ状態でずるずると片手で引きずっているのは断じてぼろ雑巾などではなく、そこにいたのは黒目黒髪の少年。激闘の末にこの男の前に敗北し、そのまま気を失った遊野清明の姿だった。
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