ターン34 退路なきエンターテイメント
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ルフェスティバル騒ぎの時、大量に爆発物のカードがありましたよね。あれ、あの後俺が回収して巴さんに渡したんすけど。その時にいくらかちょろまかしてここの中央棟、動力部に隠してあるんすよ」
敗北に観念したのか、それとも演劇モードが切れて素に戻ったせいか。素直に口を開いた鳥居が、自身の計画を語りはじめた。
それは簡単に言ってしまえば、あの時七曜たちが行おうとしていた爆破テロの逆。そもそもこのプラントは巴の持つ異常出力の「BV」量産のために作られた場所でありそのことは糸巻も知ったうえで乗り込んできていたのだが、万一その計画が失敗に終わったとしても他の仕事ができるようにリスクマネジメントが行われていた。
「それが、糸巻さんも見たでしょう?この巨大電波塔ですよ」
あの電波塔のサイズならば、異常出力のデュエルディスクには劣るもののかなり強力な「BV」システムを電波の届く限り撒き散らすことができるという。それを聞いて糸巻も、迷いの霧を打ち消そうとして自らのデュエルディスクを起動しても「BV」妨害電波がまるで役に立たなかったことを思い出した。そして恐ろしいことにこのプラント、実は水面下に動力部があり海上であれば移動ができるらしい。
「おいおい、それじゃ何か?この馬鹿でかい電波塔を力業で世界中に動かして、デュエルポリスの妨害電波を上から塗り潰そうってのか」
「移動コストも馬鹿にならないうえ、リスクも特大なんてもんじゃないです。だからこれはあのデュエルディスクの量産に失敗した場合の、本当に万一の時の奥の手だったらしいっすけどね」
「なんつーか、もうスケールがまるで違うな。アタシの給料ひとつ出し渋るうちのお偉いさんとは偉い違いだぜ、ったくよ」
「あはは……でも逆に言えばここにはプラントの生産ラインを動かし、なおかつプラントごと移動を可能にするだけの莫大なエネルギーが溜まっている、とまあそうなるわけですよ」
「そいつをぶっ飛ばせば、裏稼業連中にとっちゃいい見せしめになるってわけか」
「さらにうまくやれば、あの異常なデュエルディスクの開発が原因で大爆発が起きたってことにもできるわけじゃないっすか。そうすれば、デュエルモンスターズそのものから手を引くところだって出てくる。一度この癒着を切り離さないと、デュエルモンスターズの再生なんてもう無理なんすよ」
そう締めくくった鳥居の話をじっくりと頭の中で反芻し、そこから得た情報を考える。そして、これから糸巻自身がやろうとしていることも。少し甘いかな、とも思う。アタシも年を取ったのか、と自嘲する。しかし、この言葉だけはどうしてもこの男にかけておきたかった。
「……なあ、鳥居」
「なんすか、糸巻さん。お縄に付けるってんなら、さっくりお願いしますよ」
「『潜入捜査』ご苦労だったな、鳥居」
「え
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