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戦国異伝供書
第百八話 関東管領上杉家その九
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 すぐに茶器を買って両家に贈った、すると晴信も義元も大層喜び逆に礼の文を送ってきた程だった。それで氏康は小田原で言った。
「まさかこれ程までとは」
「思われませんでしたか」
「はい」 
 こう幻庵に答えた。
「それがしも」
「はい、しかし上方そして徐々に天下ではです」
「茶器がこれだけの価値を持つ様になっていますか」
「宝となっています、高価な茶器は」
 それはどうかというと。
「一国にも匹敵する」
「それだけのものとですか」
「されています」
「一国とは」
「だから武田殿も今川殿も喜ばれたのです」
「茶器のことをご存知である為に」
「そうです、喜ばれたのです」
 そうだったというのだ。
「確かにこちらも高い買いものでしたが」
「それだけのものはありましたな」
「はい、それでなのですが」
 ここで幻庵はさらに話した。
「当家もです」
「茶器を手に入れるべきですな」
「そうかと」
「では」
「そして茶道をしていきましょうぞ」
「その様に」 
 氏康は幻庵に答えた、そしてだった。
 実際に茶器を買うことも決めた、だがやはり今の彼にはやるべきことがあった。それで言うのだった。
「ではな」
「はい、それでは」
「これよりですな」
「上野を再び手中に収め」
「下野や下総、上総もそうしていく」
「左様ですな」
「そのことを進めていく」
 こう家臣達に話した。
「よいな」
「では」
「出陣し」
「国人達にも声をかけますな」
「その様にしていく」
 こう言ってだった、氏康は再び上野に兵を出しその国の掌握を進めた。そして下野や下総それに上総のかなりの部分も領有した。
 するとだった、気付けば。
 北条家は二百四十万石の大身になっていた、それで氏康家臣達に言った。
「関東管領にはなっておらぬが」
「それでもですな」
「我等は関東の覇者になりましたな」
「紛れもなく」
「そうなりましたな」
「うむ」
 まさにというのだ。
「そうなった」
「左様ですな」
「今の我等は」
「二百四十万石、六万の兵を擁しています」
「かなりの家になりました」
「そうなった、だがな」 
 氏康は難しい顔になりこうも言った。
「天下は我等が力を伸ばす間に大きく動いたな」
「はい、全く以て」
「まさか今川殿があそこまで敗れるとは思いませんでした」
「織田殿に桶狭間で」
「今川家は大名でなくなりました」
 主の義元も跡継ぎの氏真も桶狭間で織田家に捕らえられてだ、そうして今川家は大名としての地位を失ってしまったのだ。
「三河の松平家が独立してです」
「そして遠江の西まで進出しています」
「また駿河は武田家が手に入れました」
「遠江の東も」
「あっという間であったな」
 氏
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