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同盟上院議事録〜あるいは自由惑星同盟構成国民達の戦争〜
閉会〜金帰火来には遠すぎる〜
帝冠の共和国〜アルレスハイム王冠共和国にて〜(上)
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さて、いわゆる【民主主義の縦深】に参加している同盟弁務官達の故国は大半が『銀河連邦サジタリウス準州』という開拓途上の植民惑星群を発端とするものが多い。つまりは幾らかの問題を抱えていたとしても『バーラト・エリート』よりも強固な帰属意識を国家へ抱く連中が多いのだ。
だがアルレスハイム帝冠共和国は『異例』ともいえる国家である。同盟構成国の中でも最も新しく国家として承認された国である。
そもそもはこの国は亡命者の収容施設であった。だがそれは亡命者の増大と『同盟化』した二世、三世の土着により自治区へと発展した。
民主主義という概念を根付かせる為に同盟政府の直轄地として自治区ではあったが同盟政府の統制を受けていた。この構図が変わったのは「コルネリアス一世の大遠征」でアルレスハイムが一大激戦区となった事である。
指導者も市民も帝国出身者か、さもなくば帝国にルーツを持っていたこともあり、皇帝がいくら恩赦を説こうとそれを信じなかった。
それはまぁ当然といえば当然である。『真面目』な亡命者は文字通りのテロリストやその支援者であったし、そうでない連中は『宮廷中枢における高度に統治的な問題』や『経済的な国家に対する叛逆』に望むか望まぬかに関わらず携わっていた者を父祖に持つものが大半であったのだから。更に言えば同盟軍情報部に熱心に協力している者も多かった。
然るべき教育を受けた統治層である彼らにとって帝国政府は『理由』があれば極度に分権化された帝国を名君が統治する為に膨大な費用が必要であることはわかりきっていた。
故に彼らは惑星地上と小規模艦隊による連絡線破壊により徹底した抗戦を行い、同盟が幸運――あるいは帝国政府の統治体制が齎した必然的な結末――によって辛くも親征軍を退けるまで血みどろになって戦い抜いたのである。
そして――彼らの悲愴な抵抗は政治的意識の急速な発達を齎した。従軍した将兵やその熾烈な総力戦を支えた労働者を中心に労働組合が結成され、傷痍軍人基金や社会保障の近代化、そして参政権を含めた諸権利の拡大を叫ぶようになった。
彼らはこう吼えたのだ『我々は同盟市民である!』とその動きは疲弊した同盟社会に波及し、労働運動の高まりと労農連帯党が国政を担う大政党として膨れ上がるところまで行きつき、最後にはアルレスハイム制憲議会で『自由の旗』が高らかに唱和されることとなった。
「とはいえ、なぁ」
エドヴァルド・フォン・リッツはその制憲議会が開かれたアルレスハイム国会議事堂がセナト――上院議場に座している。
この国を代表する同盟弁務官の一人としてそうした感動的な歴史を誇りに思わないわけではない――が政治家としての彼はまた別に冷徹な達観を『玉座』に向けている。
そこに座すのは20代後半から30代手前と言った若々しい女性で
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