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同盟上院議事録〜あるいは自由惑星同盟構成国民達の戦争〜
閉会〜金帰火来には遠すぎる〜
帝冠の共和国〜アルレスハイム王冠共和国にて〜(上)
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共に認めている――つまり本人も分かった上でそう振舞っている節がある――人物だ。

「緋色のシュラフタが振るう舌鋒は鋭く敵を切りさかん、か」
 セイム院内総務であるフォン・バークは苦笑するだけだ。彼は穏健派でありあまりに揉めている場合に『まぁ彼が居るのなら』と周囲を納得させる地位を確立させてきた調整の達人である。

 さて、余談であるがエドヴァルド・フォン・リッツ医師の実家リッツ家は亡命貴族をルーツとするれっきとしたシュラフタ――アルレスハイムにおける亡命爵位貴族・下級貴族と名士・地主・大商人階層が合流した階級というより文化グループとしての『上流階級』の一員である。
 一門の宗家リッツ=シミグウィ伯爵家は帝国軍人貴族の家系でルドルフが大統領であった頃に政治団体と結びついた軍閥に対して快速巡航艦隊を率い、巧みに要塞から部隊を引きはがし包囲殲滅した事で”シミグウィ”の異名を授けられたちょっとした英雄であった。
 亡命後もかつてのアルレスハイム自治区の十二人自治委員会の委員を出した最も由緒ある家系である
――といっても所詮は亡命者の国である、当時も今もアルレスハイム貴族は本家の貴族と比べれば慎ましい存在であるのだが――それでもこの国のアイデンティにおいては奇妙な称号である「緋色のシュラフタ」と呼ばれている。
 ――閑話休題――


「まぁしかしながらリッツ教授の言う事を鵜呑みにするのは論外だが、こちらとしても全否定するものではないでしょう。彼が予算を引っ張ってくるのであればそれに越したことはない」
 リベラル派のシュトレーゼマンが苦笑する。
 『黄金の自由』は中道右派政党と標榜しているがその実態は今少し複雑である。
亡命者と言ってもその実態は複雑である。例えば古参貴族であっても戦場で身包みはがされるも同然の目に遭い投降した者もいれば、直轄領のインテリゲチアであった貴族資本を切り盛りし行政や貴族自治領において富を独占していた名士・商人と呼ばれる特権階層(例えば家族経営の小商店などは商人とは呼ばれず市民・町人と呼ばれた)が利権抗争に敗れ、フェザーンの同業と結託して膨大な資産をばら撒きながら逃げ延びることもある。
 故にこそ『シュラフタ』というゴールデンバウム朝における上流階級ともまた異なる独特の概念が生まれたのである。その幅広い括りを持つ彼らにとり『保守主義』も同じように多様な意味を持つ。
「それこそ、あちらこちら苦しいのは皆さんも同じでは?」
 
 議員の大半が頷いてみせる。

「まぁ教育援助を増やしてですな、我が国内の大学教育を充実させましょう」

「いやいやここは中小企業の運営を中間組織で統合できるように支援してですな、補助金を出して地域産業を‥‥」

「産業もいいが農業の方に補助を出してくれ!ただでさえ人手が不足
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