今日、一つ進む時間(セレナ・カデンツァヴナ・イヴ誕生祭2020)
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ラスにシャンパンを注いだ。
「ところでツェルト。お前のシチュー、中々美味かった。いったい、どんな食材を使っているんだ?」
「クズ野菜と細切れ豚、あと特売のミルク」
「冗談だろ?」
「嘘じゃないですよ。よかったら、レシピ教えましょうか?」
「……料理の世界も奥が深いな」
「さあ、ケーキを切り分けるわよッ!」
「待ってたデースッ!」
「おっと、切るならこっちも切ってくれないか?」
料理を食べ終え、いよいよデザートでありパーティーの花であるケーキを切ろうという時、ツェルトはキッチンからあるものを持ってくる。
それは白くて縦長の、ケーキ類を入れるものと同じ箱だった。
「ツェルト義兄さん、これは?」
「ドクター・アドルフからのプレゼントだ。ちゃんとお礼を言ってやるといい」
「アドルフ先生が!?ありがとうございますッ!」
セレナはアドルフの方を向き、しっかりと頭を下げて感謝する。
「お……俺は何も……」
アドルフは目を逸らしながら素っ気なく返す。
だが、目元はサングラスで隠せても、その頬が少し赤くなっていたのを、ツェルトはしっかりと見抜いていた。
当然ながら、それが照れ隠しなのはセレナにもお見通しである。
「中身は……焼きプリン?」
「それにしては、なんだか冷たい……」
マリアが中身を取り出すと、それはアルミの容器に包まれた焼きプリンだった。
しかし、保冷剤が入っている事と、室温で少し溶けかけている状態に、調は首を傾げた。
「アイス焼きプリン、って言うらしいぞ」
「アイス焼きプリン、ですか?」
「アイスなのに“焼き”プリンデスとぉ!?」
初めて聞く名前にこてん、首を傾げるセレナ。
矛盾しているようなその名前に反応する切歌。
ツェルトは、箱に貼り付けられていた商品説明に目を通す。
「どうやら、駅前に最近できたばかりのスイーツ店が出してる、オリジナル商品らしい」
「思い出した……!この前、雑誌で見た事ある。リピーター続出の理由なんだって」
「なんデスとぉッ!?」
調の言葉に、切歌は思わず立ち上がって驚く。
「ドクター・アドルフ、あなたまさか……」
「勘違いするな。たまたま通りかかった店に、患者の好物が売っていたから買っただけだ。まったく、無駄な記憶が残ってしまうのは、厄介な職業病かもしれんな」
セレナの為に?というマリアの疑問を遮り、断固として認めないアドルフ。
ツェルトとマリアが苦笑いする中、切歌が首を傾げた。
「ショクギョー病?アドルフ先生、病気なんデスか!?」
「ぶふっ!?」
「ぷっ……あっはははははははははッ!」
思わず吹き出すアドルフ。
これにはツェルトもつい、腹を抱えて笑ってしまう。
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