第2話 制圧
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める。艦長の大隅二佐は潜望鏡を覗きながら、静かに笑みを浮かべる。
現在「あきしお」に与えられている任務は、あくまでこの世界の人々がクロナス島と呼称している島へ反攻を仕掛けようとする敵戦力の発見・監視であり、攻撃は極力控えていた。
相手が海魔を使役して攻撃してきているのが、地球での戦闘で確認されているため、5キロ程離れて自動懸垂装置で艦を水平に保ちながら監視するに留めていたが、どうやら相手は全く気付いていない様だった。
「とりあえず、相手に見つかる前にここから離れよう。機関始動、現海域より離脱する。クロナス島の司令部に連絡を入れるのも忘れずにな」
「了解」
「あきしお」はモーターを動かし、ゆっくりとその場から離れていく。そして連合諸王国艦隊は、監視されていた事に気付く事も無く、中間地点のミドレス諸島に錨を降ろしていった。
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帝国標準暦154年8月4日 ミドラス諸島 連合諸王国艦隊前線司令部
「帝国軍の将官は来れぬ、だと!?」
前線司令部の天幕内部で、デュークは帝国海軍の連絡兵に向けてそう怒鳴った。
本来、この様な連合軍を組んで敵地を攻める時は、必ず連合軍の中核を担う国の将兵が会議に参加するのだが、その糾合を呼び掛けた当の帝国軍の指揮官が会議に参加できないというのだ。
「現在、我が軍は今まさに異界より現れし蛮族の軍勢と対峙し、皆様の陣容が整うまでの時間を稼いでおります。その最中に指揮官が抜けてしまえば、我が軍が総崩れとなる可能性もあるため、この会議に出席する事は叶わぬとの事でございます」
「だが、それならば通信盤を持ち込んででも出来るのではないかね?それさえも不可能とは一体どういう事なのだ?」
レグルス大公が述べた疑問も尤もである。何せ、こちらには円滑な長距離の意思疎通を行える魔導通信盤があるのだ。それを使った打ち合わせも珍しくはなく、会議に直接出向けないのならば、通信盤で出ればいいだけの事なのだからである。
しかし、連絡兵は首を横に振って言う。
「無論、その方法も考えられました。ですが、敵はこちらの動きを見透かしたかのように軍を配置し、我が方に打撃を与えていくのです。どうやら敵にはこちらの魔導通信を傍受する魔法ないし技術がある模様で、そのため秘匿性の高い通信は困難な事になっているのです」
連絡兵の言葉に、一同は揃って顔を青ざめる。どうやら帝国軍はこちらが思っている以上に苦戦している様である。
「…分かりました。ではこちらで独自に救援を送り、共に第一次突撃を行いましょう。連合艦隊主力は敵の後陣に回り込み、これを包囲。敵を包囲殲滅しましょう」
「分かりました。
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