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レーヴァティン
第百七十五話 冬が終わりその十一

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「酒池肉林ぜよ」
「それだな」
「それがいいぜよ」
「酒池肉林がか」
「おう、飲んで食ってのな」
「そうか」
「わしはおなごは普通じゃが」
 英雄の様にそちらの酒池肉林は然程というのだ。
「それでもじゃ」
「飲んでくってのはだな」
「大好きぜよ、軍鶏鍋ものう」
「好きか」
「すき焼きも好きじゃが」
 それと共にというのだ。
「そちらもぜよ」
「軍鶏も美味いな」
「おう、鶏肉の中でもじゃ」
「弾力がありな」
「実に美味いぜよ」
「だからだな」
「わしはじゃ」
 英雄にさらに話した。
「あの鍋を食って」
「そして酒を飲む」
「その酒池肉林もぜよ」
「好きか」
「まっことのう、あと猪もじゃ」
「牡丹鍋もか」
「好きぜよ」
 こちらもというのだ。
「わしはのう」
「そうか」
「肉の鍋は全体的に好きぜよ」
「なら羊もだな」
「ええのう」
 こちらの肉もというのだ。
「マトンもラムも」
「羊の肉の匂いは気にならないか」
「食欲をそそるいい匂いぜよ」
 これが当季の返事だった。
「まっことのう」
「そういうことだな」
「実際羊は美味しいでござる」
 智も言ってきた。
「マトンもラムも」
「そうだな」
「ただあの匂いが」
「よく言われるな」
「そうでござる」
「そういえば嫌いな家族が羊の匂いが嫌いでだ」
「わざとでござるな」
 どうしたか、智にはすぐにわかった。
「家で羊料理を出したでござるな」
「鯖が好きだがあたり続けて食べられずしかも大蒜が嫌いでもあったというが」
「大蒜を使った鯖料理でござるか」
「それが美味いかどうかはともかく」
 それでもというのだ。
「あえて考えて作ってな」
「食べたでござるか」
「そうしたことをした奴を知っている」
「実に底意地が悪いですな」
「だが嫌がらせとしては効果があるな」
「実に陰湿で」
「そうしたやり方もあるということだ」
 嫌いな相手にわざと嫌いなものを出したりすることはというのだ。逆に好きでも食べられないものを出して目の前で食べるやり方もあるというのだ。
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