第百七十五話 冬が終わりその九
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「これからはな」
「そして白ワインもオリーブオイルも」
「その様にしてだ」
そうしてというのだ。
「アクアパッツァもな」
「召し上がられますか」
「そうしたい、鯛は白身だ」
そして実に食べやすい味だ。
「だからアクアパッツァにするとな」
「美味しいですね」
「非常にな、それでだ」
英雄はさらに話した。
「この浮島でもな」
「召し上がられますね」
「そうする」
まさにというのだ。
「是非な」
「それでは」
「しかし揚げてもな」
この調理の仕方もというのだ。
「それもだ」
「よいですね」
「そちらもな、しかし徳川家康がそれで亡くなってもな」
鯛を揚げたものにあたってだ、これは天麩羅であったとも素揚げであったとも言われ諸説存在している。
「食わなくなるというのはな」
「残念ですね」
紅葉も言ってきた。
「どうにも」
「まことにな」
「そうですね」
「ただ廃れただけかも知れないが」
鯛を揚げる料理がだ。
「しかしだ」
「それでもですか」
「俺はそれにはこだわらない」
例え徳川家康があたってもだ。
「そして鰻の捌き方もな」
「こちらもですね」
「腹から割いてもな」
そうしてもというのだ。
「いい」
「そうですね」
「武士は切腹をする」
それで死罪としたり恥を注ぐのだ。
「だから切腹を忌むとしてだ」
「鰻は背中から切りましたね」
「東京等ではな」
つまり江戸である。
「そうだった」
「左様でしたね」
「しかしだ」
それがというのだ。
「俺は気にしない」
「そのことも」
「切腹するから何だ」
「武士が」
「縁起なのはわかるがな」
「それでもですか」
「鰻の切り方で味が変わらないならな」
それならというのだ。
「別にどちらでもだ」
「いいですか」
「そうだ、だが調理の仕方はな」
これはというと。
「俺は大坂の方がいい」
「東京、江戸のものよりも」
「寿司も天麩羅もでだ」
紅葉にさらに話した。
「今食っているすき焼きもだ」
「関西の調理の仕方のものがですね」
「いい」
そうだというのだ。
「特にうどんや蕎麦はな」
「関西ですね」
「起きた時もこちらの世界でも関東のうどんや蕎麦を食ったが」
それでもというのだ。
「口に合わなかった」
「そうでしたか」
「特にざるそばはな」
これはというと。
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