第百七十五話 冬が終わりその八
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「西の浮島で食ったが」
「いいんだね」
「あれには大蒜にトマトにだ」
それにというのだ。
「あちらの香草、それにだ」
「オリーブオイルと白ワインだね」
「そうしたものが必要だからな」
「この浮島ではね」
「今の時点では作ることは難しい」
「白ワインもオリーブオイルもね」
「そちらの葡萄もオリーブも作りはじめたところだ」
それでというのだ。
「そこから酒や油を造って出回るのはな」
「まだ先だね」
「だからだ」
それ故にというのだ。
「この浮島ではな」
「まだだね」
「これからだ」
「そうだね」
「しかしこれからはな」
ワインやオリーブオイルもというのだ。
「出回る」
「そうなっていくね」
「これが牛肉や乳製品もだ」
こういったものというのだ。
「出回ってだ」
「そのうえでね」
「皆が食える様になる」
「そうだね」
「乳製品は今もあるにはあるがな」
「蘇だね」
「酪にしろ醍醐にしてもな」
こうした乳製品がというのだ。
「あるにはあるが」
「どれも高いよ」
桜子は冷静な顔で述べた。
「本当にあたし達みたいなね」
「上の上のな」
「限られた人しか食べられないものだよ」
「実にな」
蘇や酪といった乳製品はというのだ。
「古来からある様なものはな」
「実際に食べているにしても」
良太も言ってきた。
「それが僅かなら」
「民が普通に食えるものでないとな」
「意味がありません」
「そうだ、だから俺もだ」
英雄自身もというのだ。
「今の様にだ」
「言われますね」
「誰もが食えるものでないとな」
それこそというのだ。
「意味がない」
「左様ですね」
「蘇はチーズだ」
擁するにとだ、英雄は述べた。
「そして酪も醍醐もな」
「どちらもですね」
「バターなりヨーグルドでな」
「普通にありますね」
「そうだな、俺達が起きた世界では」
「ならこれからはですね」
「広く造ってな」
そしてというのだ、英雄は牛肉をとじた卵の中に入れてそうして食べつつそのうえでこう言うのだった。
「誰もがだ」
「食べられる様にですね」
「する、チーズもバターもでな」
「ヨーグルトもですね」
「どれもだ」
今挙げた乳製品はというのだ。
「そうしてだ」
「そのうえで、ですね」
「誰もが食える様にする」
乳製品もというのだ。
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