73 二人で楽しめた時
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「藤木君、何、私ばっかり見て・・・」
「あ、いや、その、実は・・・」
二人の作る様子を見ながら奏子は推測する。
「藤木君はもしかしてかず子ちゃんを作ろうとしてるんじゃないの?」
「え・・・!?」
「え、そうなの!?」
笹山も驚いた。
「実は・・・。そうなんだ・・・。なるべく綺麗に作るよ!」
「ありがとう、楽しみにしてるわ」
「いやあ、ははは・・・」
奏子はやはりこの男子は笹山が好きなんだと改めて感じるのであった。形作りが終わると、次に色塗りを行う。
「藤木君、結構上手にできたわね」
奏子は藤木が笹山の顔そっくりの形の粘土に感想を述べた。色塗りをしたその粘土は本人そっくりだた。
「ありがとう。藤木君、嬉しいわ」
「あ、うん、笹山さんの猫もとても可愛いよ」
「ありがとう」
笹山もまた照れた。二人はそれを美術部の生徒に手渡す。
「お疲れ様。二、三十分で乾くからその時にまた来てね」
「はい」
奏子達は教室を出ると案内を続ける。
「今度どこ行ってみる?」
「そうね・・・」
「体育館で演劇部が演劇始まるから観てみない?」
「うん、行きたい!藤木君、どうかな?」
笹山は藤木に確認をとる。
「うん、いいよ」
(笹山さんと演劇観る・・・。まるで本当のデートだな)
藤木は浮かれた。やはりこの文化祭に来てよかったと思った。夏休みに出会った安藤りえという女子に恋していた時期もあったが、好きな女子とここまで親密になれるなんて藤木にとってはこの上ない幸運だった。
体育館の館内にはパイプいすが置かれており、観客席と化していた。かよ子達もそのパイプ椅子に着席する。
「あのステージの方で吹奏楽部がコンサートやったり、合唱部が合唱披露したり、大道芸部がマジックや独楽回しやジャグリングなどいろいろやってるんだよ」
三河口が説明した。
「凄いわあ!」
少ししてかよ子は遠くの方に奏子や藤木、笹山、そして笹山の両親も館内に入って来た事に気付いた。
「あ、笹山さん達もいるわあ!呼びましょうかあ?」
冬田は提案した。
「いいや、やめといたほうがいい。藤木君にとっては笹山さんと一緒にいられるチャンスなんだから俺達が関わると彼の気分を壊すことになるよ」
三河口が制した。
「は、はあい・・・」
(ま、いいわあ。私はこうして大野君といられるんだからあ・・・)
冬田は大野と文化祭を楽しむだけでも十分満足だった。
(でも、藤木君、笹山さんと何か楽しそう・・・)
かよ子は藤木がようやく文化祭を楽しめているのではないかと感じるのであった。
「お、演劇が始まるぜ」
皆は劇の観賞に浸った。
演劇が終わり、かよ子達は体育館を出る。
「ああ、面白かったね」
「ああ、俺も演劇部の演劇を見るのが好き
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