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戦国異伝供書
第百八話 関東管領上杉家その六

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「暫く待っているとな」
「必ずですな」
「敵軍は去りますな」
「そうなりますな」
「武田殿今川殿に援軍は頼んだ」
 既にというのだ。
「そしてこれまで籠城していた当家の諸城もな」
「兵を出す」
「その用意をしますな」
「そうしますな」
「そうして敵の後ろを脅かせば」
 その補給路をというのだ。
「そうなればな」
「必ずですな」
「敵は去る」
「そうなりますな」
「勝てぬ相手もそうすればな」
 あえてこちらの領地不覚まで誘い込みその後ろを脅かせばというのだ。
「負けぬ、負けぬならな」
「よしですな」
「こうした場合は」
「では今もですな」
「出ませぬな」
「そして長尾殿が去れば」
 その後はというと。
「わかっておるな」
「籠城の鬱憤を晴らす」
「そうしますな」
「その時から」
「そうしますな」
「そうじゃ、下総から上総に兵を出してな」
 そうしてというのだ。
「上野にもな」
「兵を出してですな」
「今度こそ完全に我等のものとする」
「国人達が降るのを受けつつ」
「そうもしますな」
「降っていくのを待つつもりであったが」
 下総そして上総はというのだ。
「しかしな」
「多くの者が長尾殿につきました」
「下総や上総の国人達も」
「上野も然り」
「だからですな」
「あらためて兵を出してな」
 その様にしてというのだ。
「そうしていくとしよう」
「ではですな」
「今は籠城する」
「そうしますな」
「時を待ち」
「そうする、あとじゃ」
 氏康はさらに話した。
「長尾殿が帰っても追うことはな」
「されませぬか」
「攻められませぬか」
「退く時も」
「そうされますか」
「攻めるとな」
 退く敵を追ってそうすることは戦の常でそうした時こそ手柄を立てる時であるがそれでもというのである。
「かえってじゃ」
「長尾殿に返り討ちに遭う」
「そうなりますか」
「その様になりますか」
「だからですか」
「長尾殿が退かれても」
「攻めぬ、若し長尾殿が後詰なら」
 その場合はというと。
「とてもな」
「攻められませぬな」
「その場合は」
「到底」
「長尾殿は戦の天才じゃ」
 まさにというのだ。
「それこそ武田殿でも戦を避ける程な」
「そういえば」
 氏照が言ってきた。
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