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ドリトル先生と牛女
第二幕その八

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「大きくなっていってね」
「それでなんだ」
「そんなとんでもない妖怪になったんだ」
「もう切り裂きジャック真っ青の」
「そんな風になったんだ」
「そうだよ、口裂け女のお話は都市伝説でもあるけれど」
 先生は民俗学のお話もしました、実は先生は民俗学についてもかなりの識見を持っている人なのです。
「これがね」
「どんどん大きくなって」
「尾鰭が付いて」
「それでなんだ」
「そこまでいったんだ」
 大鎌で電話ボックスを真っ二つにするまでというのです。
「それで当時の子供達が怖がってね」
「そりゃ怖がるね」
「誰だってね」
「そんな妖怪本当に襲ってきたら」
「どうしようもないから」
「集団下校したり」
 そうした風になってというのです。
「べっ甲飴やポマード持つ様になったんだ」
「飴?」
「それにポマード?」
「何、その二つ」
「よくわからない組み合わせだね」
「べっ甲飴は口裂け女の好物で」
 先生はまずこちらからお話しました。
「これを投げると食べてその間に逃げられるって言われていたんだ」
「妖怪にはよくある話だね」
「そうしたお話もね」
「言われてみれば」
「そうだね」
「それでポマードはね」
 今度はこちらのお話でした。
「口裂け女の苦手なものだったんだ」
「好物もあれば苦手なものもある」
「これも妖怪の特徴ね」
「人間も動物もあるけれど」
「妖怪もそこは同じね」
「そしてね」 
 それでというのです。
「嫌いな理由はポマードをべっ甲飴と間違えて食べて」
「ポマードは整髪料だから」
「食べられないからね」
「食べてとんでもないことになったんだ」
「それで嫌いになったの」
「そうしたお話なんだ、けれど実際の口裂け女は」
 どうかといいますと。
「この学園にいるそのままで」
「ああ、驚かせるだけね」
「夕方に校門にいて」
「それで驚かせてくる」
「この学園じゃそう言われているね」
「だからね」
 それでというのです。
「驚かさせられるけれど」
「それでもだね」
「襲われることはないし」
「安心していいのね」
「口裂け女については」
「そうだよ、特にね」
 これといってというのです。
「怖い妖怪じゃないから」
「だったらいいよ」
「まあ驚かされる位ならね」
「それ位ならいいかな」
「襲われないなら」
「それなら」
「というかね」
 老馬が言ってきました。
「妖怪のお話って後で色々つくよね」
「大きくなったり怖くなったり」
「そんな風にね」
 チープサイドの家族も言います。
「どんどんね」
「そうなっていくね」
「というか人が殺されたなら」
 こう言ったのはチーチーです。
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