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宇宙戦艦ヤマト2199〜From Strike Witches〜
出航編
第3話 ゼウスの海に彷徨う大地
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。
扶桑人としては珍しい部類に入る、ショートにまとめられた白銀色の髪に、ルビーに近い紅い瞳。この二つの特徴を有する人は、少なくとも地球で生まれた者では存在しない。
「もしかして君、
火星人
(
マーズノイド
)
か?」
「…分かってしまいますか。祖父の代から火星生まれでした」
今から100年程前、地球は火星を
地球化改造
(
テラフォーミング
)
し、移民政策を進めていた。そして火星の地で生まれた人は現地の土壌の影響で髪は白く、瞳は赤くなっており、火星で生まれ育った純粋な人類として『火星人』と呼ばれていた。
そして30年前、火星の政治的・経済的な独立を巡って最初の内惑星戦争が起こり、火星の自治政府は小惑星帯の小惑星を改造した人工隕石や、岩石輸送宇宙船を改造し、初歩的な空間魚雷で武装した宙雷艇で対抗したが、木星圏の衛星や土星圏の衛星から潤沢な物資を調達していた地球の物量には勝てず、17年前の第二次内惑星戦争によって火星自治政府は降伏し、住民は全員地球へ強制移住された。
ちなみにこの内惑星戦争時に、火星からの人工隕石から逃れるための地下都市が開発され、都市自体は戦争中には完成しなかったものの、現在は対ガミラス戦における遊星爆弾から逃れるための拠点として有効に活用されている。
「今はもう地球化改造で出来た海も無くなり、たくさんの思い出と、たくさんの人の命が消えた場所です」
「そうか…」
1ヵ月前、イスカンダルからの使者を迎えるために潜んでいた都市の廃墟で実際に生活を営んでいた者の言葉に、古代は静かに視線を火星の方に向ける。
と、後部第二副砲の上に1人の乗組員が船外着姿で出ているのが見え、その人は火星に向けて、造花の花束を捧げる。と、古代と同様にそれに気付いた美里が口を開く。
「古代、イスカンダルの使者を火星に埋葬したそうね。島から聞いたわよ」
「え…」
美里の言葉に、玲は目を丸くし、古代は表情を僅かに歪ませる。美里は外を眺めながら言葉を続ける。その表情は医師の顔そのものだった。
「…気持ちは分かるけど、地球以外の人類のデータは出来る限り確保しておきたいの。今の地球人は遊星爆弾から放たれる毒素のみならず、ネウロイの瘴気や宇宙放射線に対する防御手段も持たなければならないから、地球人にはない生物的特徴や能力を知るためにも、彼女の遺体は必要となる…死者の尊厳に気を使うその高潔さは、今の時代では自分達の命を縮める枷にしかならないわ」
万人を救うために、尊厳をも踏み躙る事を厭わない彼女に、古代はただ表情を険しいものとする。しかし彼女の言う事も正しいのは事実で、人としてどこまで冷徹になれるのか、その加減次第となるのだろう。
そして3人はただ、静かに火星と、奥の方で僅かに見える地球を暫し見つめ、決意を固
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