第96話『予選A』
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さて、思っていた射的とは全然違ったが、ルールはシンプルではあった。要はこのたくさんの的に、魔術をぶつければいいだけらしい。
『当てた的のカウントは、皆さんが腕に付けている腕輪によってなされます。ですから、気兼ねなく力を発揮してくださいね』
結月は腕輪を見る。終夜が色々な用途があると言っていたが、まさか競技にまで利用されているとは。
確かに、用意された的は100や1000ではない。少なくとも、1万以上はある。自分でカウントするのはほぼ不可能だ。仕組みはわからないが、肖るしかない。
『ただし、1度当てられた的は機能しません。つまり、早い者勝ちということです。また、他のプレイヤーを攻撃した場合、ペナルティとして点数が減点されます。意図的と思われる場合は失格もありえますよ』
「なるほど……」
付け加えられたジョーカーの説明に、結月は考え込む。
どうやら、無闇やたらに的を狙うのは悪手かもしれない。的は地上から空中まで、3次元的に展開されている。当然、地上付近の的は狙いやすく、上空の的は狙いにくい。数を稼ぐなら、他チームを攻撃しないためにも、上空の的を狙う方が良いだろう。
「けど、かなり高いのもあるなぁ……」
一体地上から何mの高さにあるのだろうか。見上げる程の高さにも的がある。さすがにあれは結月でも射程外だ。あそこまで届く人はかなり有利になると思われる。
「だから"射的"ってことか」
地上にも的があるから"射的"という名前は変に感じたが、やはりこの競技は遠距離攻撃を使える人が有利になる仕様のようだ。もしくは飛べる人とか。
『では、10分後に競技を開始します。各自、好きな場所に用意してください』
最後にジョーカーからそう告げられた。
なるほど、確かにそれは道理だ。1度当てられた的が使い物にならなくなるルール上、同じ所からスタートするのは余りにも差が出てしまう。
となると、場所取りもかなり重要になってくるな。
「真ん中が良いんだろうけど、たぶん人が多いよな……」
設計されているのか、実は平野は正方形の形をしている上に、1辺が500mくらいはある。だから中央に位置すれば、開幕全方位に魔術を放出するだけでそれなりの数を期待できるだろう。
ただ、そんな考えは誰だって思いつく。目指すべきは、あまり人がいない場所。
「こういう時、ハルトならどうするかな……」
策を考えながらも、結月は頼れる恋人を偲ぶのだった。
*
「ホントにここで合ってるのか……?」
場面は変わり、山の奥深く。伸太郎は目の前の洞窟を見据えながら、そう呟いた。
「"迷宮"って言うくらいだから、てっき
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