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非日常なスクールライフ〜ようこそ魔術部へ〜
第96話『予選A』
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見渡す限りの平野。まさか、森の中にこんな広い場所があるなんて。
ガヤガヤと周りで他のチームの人たちが騒ぐ中、結月は1人で突っ立っていた。

そう、ここは"射的"の会場なのである。


「なんか緊張するな……」


結月がこう零すのにも理由がある。
というのも、結月がこの世界に来てから、こうして1人でいることは初めてなのだ。今までは、どこへ行くにも誰かしらが傍にいてくれたから。
だから、今みたいに知らない場所に自分だけというのは中々に心細いものだ。緊張してしまうのも無理はない。


「でも、頑張らないと」


結月はそう呟き、大きく深呼吸をする。今さらそんなことで気落ちしてはいられない。
それに彼女自身、興味に釣られて終夜の出番を取ってしまった罪悪感があった。あの後、「やっぱりいいです」なんて言える雰囲気でもなくなっていたし、もう出場することになってしまった以上、予選を勝ち進む以外に贖罪の方法はない。


「やるしかないよね!」


終夜のためにと、結月はやる気を漲らせる。

その時、集合場所にスピーカー越しの声が響いた。


『はいは〜い、"射的"に参加される皆さん、こちらをご覧下さ〜い』

「うん?」


声の主はちょうど正面の方向にいた。奇妙な服装と化粧をした男──ジョーカーである。
しかし、その前にツッコみたい点が1つ……


「何で飛んでるの……?」


正面、正しくはその上空、ジョーカーは風船を背中に付けて浮遊していた。
どうしてわざわざそんな所に? というか、風船で人って飛ばせたっけ? 不思議だ。


『まぁ細かいことは置いといて。それより早速、ルール説明の方に参りますよ〜。まずはこちらをご覧ください!』

「わぁっ!?」


ジョーカーが手を広げたかと思うと、平野に無数の丸い物体が現れた。見た目は占いで使うような水晶の様だ。それが地面の上から空中まで、あらゆる所に存在している。結月の足元にも頭の上にもあった。
一体今から何が始まるというのだ……?


『"射的"、それすなわち"的を狙う"競技。皆さんにはこの的に魔術を命中させ、その数を競ってもらいます』


そう言って、ジョーカーは近くにあった水晶に軽く触れる。すると透明だった水晶は、みるみるうちに黒く染まってしまった。


『このように、触れて魔力を少し流すだけでも水晶は反応します。もちろん、魔術による攻撃を当てて貰っても構いません。この水晶は魔力を吸収するので、どんなに強い魔術でも割れることはありませんよ。……あ、とはいえ物理属性には弱いので、そこは加減してくださいね?』


ジョーカーは舌を出しながら、最後にそう付け加えた。まぁ、ユヅキには関係のないことだが。


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