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同盟上院議事録〜あるいは自由惑星同盟構成国民達の戦争〜
閉会〜金帰火来には遠すぎる〜
財界から産まれた国〜パランティア共和国にて〜
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線を受け止め、背筋を伸ばすエオウィンもこの老人に見出されてヴィルヘルミナの派閥から重用されたのだ。
「同盟政府の状況は思わしくないが、それ故に我らは手札に困らない、か。
ふん、わが身に不幸が続かば総体の不幸を祈るようになる、我々も貧ずれば鈍ずるものよ」
エオウィンはふぅ、とため息をついた
「ルンビーニ事故は自業自得ですよ」
で、あるな。と老人は溜息をついた。この老人から見るとこの国は衰えていく一方なのだろう。
「あぁそうだリヴォフ殿はお元気か」
彼も10年程前は、エオウィンと同じく同盟弁務官としてハイネセンで活動していた。
その時にリヴォフは同盟弁務官として活動を開始していた――最もアスターテ共和国の国防長官など閣僚を経験した後のことであるが。
「えぇとてもお元気です。次も出る気のようですよ」
お元気というか喧しいというか、とエオウィンはくすりと笑った。
「そうなると勝つな」
連合国執政は重々しい口調で呟いた。
「はい、よほど迂闊か不運に見舞われぬ限りは。あの方は広報に使った金額ではなく知名度で勝つ御方ですので」
そうか、と呟き、デネートリオは静かな声でエオウィンに問いかけた。
「エオウィン君。イゼルローン要塞が機能して半世紀、【民主主義の縦深】は左派が強いがそれでもこの軍隊との付き合いが必要不可欠な『交戦地域』に根付きつつある。それは何故かわかるかね?」
「左派であろうと民意を聞き届け親軍路線に切り替えたからですか?」
違う、と老政治家は首を横に振った
「勿論それもあるが主ではない。労農連帯党などの親軍左派路線は兵卒への待遇改善などにも絡んでいる。国防委員会や上層部にとって歓迎するわけではない。
失地したティアマトの農業保守政党である帰郷連合と穏健党が同盟弁務官を輩出しているか
らだ」
じろり、と若手弁務官に向ける目には深い光が宿っていた。
「‥‥‥なるほど、勉強になります」
「エオウィン君。政治を差別的な目で観るものからすれば、右派は既得権益とそれに縋る権威主義者、左派は威勢のいいことを言う詐欺師。ならば中道は何に見えるかわかるかね?」
「いえ」
「中道は半端者の風見鶏だ。リヴォフ提督は良い政治家だ。リッツ教授は素晴らしい政策家だ。ホアン委員長はこの時勢には珍しい良き大衆左派政治家だ。
だが我々とは立ち位置が違う、『誰が票を入れて君をそこへ運んだのか』ゆめ忘れない事だ。いいかね、【縦深】を護る為には君は中流層に立脚した政治家であり続ける事だ。
政治とは妥協の産物であるが、であるからこそ我々は立ち位置を違えてはならぬのだよ」
「‥‥‥覚えておきます」
「あぁ、君が良きパランティアの同盟弁務官としてあり続ける事を祈ろう。
こ
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