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同盟上院議事録〜あるいは自由惑星同盟構成国民達の戦争〜
閉会〜金帰火来には遠すぎる〜
財界から産まれた国〜パランティア共和国にて〜
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いても、頼めますね」
「かしこまりました。首相」
「我々としてはイゼルローン回廊の動静については同盟政府のみならず、独自に気を配っておくべきだと考える、司法長官と協力して情報を収集したい」
要するに同盟情報部を監視しようといっていることを全員が理解し、同時に臆することなく目配せし合った。
「異議なし」「異議なし」
「それとルンビーニの件だが労働長官として提案する。
エオウィン弁務官の同盟弁務官事務所にウチの管轄である三郷労働研究所から調査担当秘書を送ろうと思う。
また、必要な安全対策の研究の為に産業労働研究所に『独自研究』の予算をいただきたい」
「異議なし」「異議なし」「財務省としては産業労働長官の意見に反対である」
「あ”ぁ!?」「たかが個別案件が一つ、今までの予算でやれるだろ?」
労働長官の額に青筋が浮かんだところで首相が早口で割り込む。
「この件は後で実務者同士で調整してください、次回の正式な閣議で諮ります」
「それではこれで解散にしよう。御苦労でした、エオウィン弁務官」
エオウィンは頬を引き攣らせながら曖昧な笑みを浮かべて一礼をした。
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それから30分ほど過ぎ、彼女は宇宙港に向けて車で15分ほど離れた豪奢なビルに移動した。そしてそこに彼女を待っているのは生まれ落ちて76年目を迎えようとしている老人である。
「ふん、ヴィルヘルミナめ、閣僚のとりまとめすらできないのか。
帰郷早々にすまなかったな、エオウィン君」
自国の首相に対して堂々と客人の前で悪態をつく老人。この老人こそが連合国執政――即ち元首であるデネートリオ2世だ。
アトリアン共和国が企業連合であった頃から統治機構に食い込んでいた名門である。
――まぁそれは言いかえれば元を正せば銀河連邦の大企業連から辺境に左遷させられた苦労人の子孫という事でもあるのだが――それを言えば自由惑星同盟におけるエスタブリッシュメントなどといっても出自が怪しげな連中の集まりであるというのが悲惨である。
謹厳であるがそれ故に高慢な面もあり、若いころから幾度も舌禍を引き起こしてきた。
「いえ、執政閣下」
だがそれはこの老人が無能であることを示さない。
自身は毛並みの良さと教養で『馬鹿な左翼』をやりこめることで保守層の支持を集めていたが、幾つもの要職を経験し穏健党の総裁の座につき、いよいよ連合国執政への出馬を決めたこの老人は、次の総裁に自身の仇敵(と熱心な支持者たち)が決めつけたヴィルヘルミナを指名した。
その結果として穏健党は長期政権に必要な【新鮮味】を手に入れたのである。
「ルンビーニの追及を行い、我々の地域に利潤が出る事業を引き出す、か
うむ、ヴィルヘルミナ達の方針で問題なかろう」
不機嫌そうな視
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