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レーヴァティン
第百七十五話 冬が終わりその一

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                第百七十五話  冬が終わり
 英雄は夜に大奥で側室達と共にいる中で言った。
「冬の夜はな」
「温まらないとですね」
「眠れないですね」
「そうなのですね」
「だから今宵もだ」
 床の中で言うのだった。
「この様にな」
「わたくし達と共にですね」
「夜を過ごされるのですね」
「その様にされるのですね」
「そうだ、今宵なお前達とだ」 
 側室達のうち三人と、というのだ。
「過ごしてだ」
「温まられて」
「そしてですね」
「温まれた後で、ですね」
「休まれますね」
「そうする、俺は昼や寒くともある程度いいが」
 それでもというのだ。
「夜はな」
「違いますね」
「どうしてもですね」
「人肌で、ですね」
「それがないとだ」
 どうにもというのだ。
「眠れない、だからな」
「はい、では」
「お抱き下さい」
「その様にして下さい」
「そうする、だが」
 英雄はここでこうも言った。
「もう何年もこうして多くの女達を抱いているが」
「それでもですか」
「俺は子が出来ないな」
 側室の一人に述べた。
「どうもな」
「そのことですか」
「俺の場合はそうなのか」
「それはです」
 その側室はこう英雄に話した。
「授かりものですから」
「子供はか」
「出来る時は出来て」
 そしてというのだ。
「お言葉ですが」
「だからか」
「思われてもです」
「仕方ないか」
「そうかと」
「それだな」
 英雄も頷いて述べた。
「言われてみればな」
「では」
「考えを変える」
「お子のことは」
「そうする、夜を過ごしていけば」
 女達と共にというのだ。
「やがてはな」
「それでは」
「今宵はだ」
 あらためて言った。
「お前達とな」
「過ごされるのですね」
「その夜をな、ではな」
 英雄は三人の側室達と夜を過ごした。人肌を味わうと彼はそれでよく眠れた。それで朝に風呂に入り。
 飯を食い武芸の稽古の後で政にも励んだ、その励みがよく。
 幕臣達はこう彼に言った。
「本日もお元気ですね」
「よく励まれていますね」
「政に」
「この通りな、寒いが」
 それでもというのだ。
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