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戦国異伝供書
第百七話 国府台の戦いその十三

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「そして戦にもです」
「使うこともか」
「進めているとか」
「左様か」
「ですから」
 それでというのだ。
「我等も出来ることなら」
「鉄砲鍛冶をであるな」
「呼びたいものですな」
「そうであるな」
「中々そうはいかぬと思いますが」
「そのことも考えるか、そういえば」
 ここで氏康はふとある男のことを思い出しそうして話した。
「尾張の織田殿は鉄砲を多く使っておるそうであるな」
「そうなのですか」
「尾張を瞬く間に統一しましたが」
「うつけ殿と言われていましたが」
「それがまさに」
「見事な政を行っているとも聞くが」
 非常に多くの優れた家臣達を擁してだ。
「しかしな」
「戦ではですか」
「鉄砲を多く使われ」
「そうしてですか」
「勝っているという、長い槍を用い」 
 それに加えてというのだ。
「鉄砲もな」
「それもですな」
「多くですな」
「使っていますか」
「その様じゃ」
 まさにというのだ。
「だからな」
「当家もですか」
「これよりは、ですか」
「出来るだけ鉄砲を持ち」
「戦をしていきますか」
「その様にしていこう」
 こう言うのだった。
「よいな」
「はい、それでは」
「その様にしていきましょう」
「我等もまた」
「これよりはな」
 氏康は確かな声で言った、そうして鉄砲を多く揃えることもはじめた。そちらにも努力をする様になった。


第百七話   完


                   2020・7・23
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