第百七話 国府台の戦いその九
[8]前話 [2]次話
「しかしです」
「それでもですな」
「強いと見られ」
そしてというのだ。
「対されてもです」
「戦を仕掛けませぬな」
「そうした方です」
こう氏康に話した。
「その長尾殿と対されているので」
「武田家もですな」
「当家そして今川家とはです」
「揉めていられませぬな」
「只でさえ上洛をお考えです」
「それで後ろに憂いがあってはならない」
「そこに長尾殿とことを構えたからには」
まさにというのだ。
「当家そして今川家とはです」
「揉めていられませんでしたな」
「だからです」
「盟約に乗り気でしたな」
「それも強く」
「そうした事情がありましたな」
「とにかくです」
景虎はというのだ。
「戦の天才です」
「戦っては必ず勝たれる」
「そうした方なので」
それでというのだ。
「武田殿も戦われませぬ」
「そしてですな」
「今のところは考えられませんが」
幻庵はこう前置きして氏康に話した。
「当家もです」
「長尾殿とことを構えれば」
「その時はです」
「戦ってはなりませぬな」
「戦ってもです」
例えそうしてもというのだ。
「それこそ三倍の兵でもです」
「勝てませぬな」
「あの御仁には」
とてもというのだ。
「ですから」
「戦は避けるべきですな」
「嵐に向かっても何もなりませぬ」
幻庵はこうも言った。
「嵐は避けるに限りますな」
「確かに」
「ですから」
それでというのだ。
「その時はです」
「長尾殿と戦になれば」
「城に籠り」
そしてというのだ。
「守りに徹してです」
「難を避けるべきですな」
「それぞれの城に籠り」
どの軍勢もというのだ。
「戦わず」
「退くのを待つ」
「そうしましょうぞ」
「それでは」
「長尾殿も民を害することはしませぬ」
このこともあってというのだ。
「ならです」
「城に籠ってもですな」
「何もです」
それこそというのだ。
「心配はいりませぬ、籠った城同士が連携して守り合えば」
「それぞれの城は攻め落とせぬ」
「容易に。ですから」
それでというのだ。
「我等はです」
「守ってですな」
「そしてその間にです」
「武田殿、今川殿にですな」
「援軍を頼み」
そしてというのだ。
[8]前話 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ