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ドリトル先生と牛女
第一幕その三

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「頭はね」
「牛なんだ」
「そうなんだ」
「じゃあミノタウロスね」
「あちらなんだね」
「そうなんだ、噂ではね」
 先生は皆にさらにお話します。
「戦争中にはもういたらしいよ」
「ああ、第二次世界大戦だね」
「今の日本で戦争っていうとあの戦争だね」
「あの戦争の頃にはもういたんだ」
「そうだったんだ」
「それで有力者の人達の間を行き来していたらしいんだ」
 こう皆にお話します。
「予言をすると言われていてね」
「件みたいに?」
「あの妖怪みたいになの」
「予言をしていたんだ」
「これから何が起こるのか」
「それで時の有力者の人達の間で匿われていて」
 そしてというのです。
「予言していたらしいんだ」
「そうだったんだ」
「何かって思っていたけれど」
「予言する妖怪だったんだ」
「多分件と関係があるね」
 先生が思うところです。
「牛と人の姿で予言もするしね」
「というか姿件の逆じゃない」
「件は頭が人で身体は牛だから」
「牛女さんは頭が牛で身体は人」
「まさに正反対だね」
「そこはね」
「これまた牛から生まれたらしいし」
 その牛女はです。
「これも噂だけれど」
「じゃあ本当に件?」
「件と一緒?」
「そうなの?」
「そうかもね、それで空襲の時も色々な人に匿われていたらしいけれど」
 それでもというのです。
「その中でね」
「空襲でその時匿われていたお家が焼けて」
「それでなんだ」
「外に出て六甲に逃れて」
「そうしてなんだ」
「今もいるらしいね」
 その六甲にです。
「そう言われてるよ」
「そうだったんだ」
「何かって思っていたら」
「神戸にそうした妖怪がいるんだ」
「そうなんだね」
「僕が今勤務している八条学園もね」
 この学園もというのです。
「妖怪や幽霊のお話が多いね」
「世界一の妖怪スポットって言われてるね」
「心霊スポットともね」
「あちこちに妖怪や幽霊が出るっていうお話があって」
「妖怪の種類も多いね」
「日本の妖怪だけじゃないし」
「世界各国の妖怪がいるね」
「あの学園は世界中から人が集まるから」 
 それでというのです。
「妖怪もね」
「多いんだね」
「世界中から集まって」
「そうなっているんだね」
「そうだよ、しかしね」
 先生はさらに言いました。
「牛女のお話は学園にはないね」
「確かにそうだね」
「河童さんとかのお話はあっても」
「それでもね」
「僕達実際今はじめて聞いたしね」
「牛女さんのことは」
「若し機会があれば」
 先生は皆にお話しました。
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