暁 〜小説投稿サイト〜
戦国異伝供書
第百七話 国府台の戦いその六

[8]前話 [2]次話
「ここは」
「ではな」
「我等はですな」
「実際にな」
「川を渡ってですな」
「そのうえでな」
 さらにというのだ。
「台の北東からじゃ」
「攻めますな」
「そうする」
 こう氏照に答えた。
「これよりな」
「それでは」
「そしてじゃ」
「敵を破りますな」
「一旦兵を破ってじゃ」
 そしてというのだ。
「国府台に入る」
「そうすれば」
「最早勝ちは我等のものとなる」
 台地に入ってしまえばというのだ。
「だからな」
「この度は、ですな」
「こちらに来た敵を正面から破る、それでじゃ」
「それがしが、ですか」
 ここで綱成がまた言ってきた。
「やはり」
「先陣じゃ」
「それでは」
「よいか、一気にな」
「敵を攻めてそのうえで」
「敵陣を破るのじゃ」
 そうせよというのだ。
「騎馬隊で駆け上がりな」
「敵は弓や槍で防いできますな」
「何、それでもじゃ」
 氏康は笑って話した。
「こちらが数を生かして兵を別の方に動かすとな」
「敵はそちらにも兵を向ける」
「ただでさえ南にも兵を向け」
 そうしてというのだ。
「そのうえ城にも兵を置いておる」
「ならばですな」
「お主に備えておる兵はどう多くても千位になる」
「千ですか」
「お主には四千の兵を与える」
「四千に騎馬隊があれば」
 ならばだとだ、綱成は氏康に確かな顔で答えた。
「間違いなく」
「では頼むぞ」
「それでは」
「数が多いなら多いで戦い方がある」
 少ない、つまり河越の夜戦の時とはまた別にというのだ。
「その数を存分に使ってな」
「そうして戦うことですな」
「そうして勝つとしようぞ」
「わかり申した」
 綱成はまた氏康の言葉に頷いた、そうしてだった。
 四千の兵で騎馬隊を軸にして台を駆け上がらんとする、当然それに里見家の軍勢は槍と弓矢を出して防ごうとする。
 だがそれにだった、氏康は。
「右に二千、左に二千じゃ」
「向かわせ」
「そうしてですか」
「台地を上がる様に見せよ」
 こう命じた。
「そして敵に隙があればな」
「実際にですな」
「台を駆け上がるのですな」
「そうせよ、よいな」
 こう将達に命じて兵を動かさせた、すると。
 里見家の軍勢はそれを見てそちらにも兵を向けた、里見家は北東には二千五百の兵を置いていたが双方に七百ずつ割いた。
 必然的に綱成が率いる先陣への備えが減った、綱成はそれを見て兵達に告げた。
「よいか、敵の数は少なくなった」
「ならばですな」
「一気にですな」
「攻めますな」
「そうするのじゃ」
 今こそというのだ。
[8]前話 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ