第五章
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それで慎重にこう言うのだった。
「まあ少し歩こう」
「神社の仲を?」
「うん、そうしよう」
つまりデートをしようというのだ。
「そうしない?」
「そうだね。それじゃあね」
総一郎は満腹になり他の遊ぶことを忘れていた。そのうえでの言葉だった。
「今からね」
「あとはね」
「あとは?」
「あっ、何でもないわ」
具体的にはキスできればいいかなとか思っていたがやはりそれは言えなかった。
「気にしないで」
「そう。それじゃあね」
「うん、そういえば富美加ちゃん今日は」
「今日は?」
「浴衣だけれどね」
総一郎の今の言葉に富美加は内心やった、と思った。
だがそれは隠して黙って彼の話を聞いた。
「可愛いね」
「そう言ってくれるの?」
「うん、似合ってるよ」
「有り難う」
その言葉に満面の笑みになって彼に貌を向けた。
「そう言ってもらえると嬉しいわ」
「夏はやっぱり浴衣だよね」
とはいって総一郎は袖がなく薄いがやはりシャツの上はジャケットだ。
「それがいいよね」
「そうよね。それでだけれど」
「それでって?」
「このまま二人でここ歩いていいわよね」
デートはこっそりと確認する。
「そうしていいわよね」
「悪いも何も僕だってさ」
「総一郎君も?」
「富美加ちゃんの浴衣可愛いし。それに」
「それに?」
「あっ、何でもないよ」
総一郎は自分に向けられた富美加の笑顔を見て言葉を引っ込めた。
「何でもないから」
「そうなの」
「うん、何でもないよ」
またこう言うのだった。
「だからね」
「このまま二人でお賽銭のところに行きましょう」
「お願いするんだ」
「うん、そうしましょう」
こう総一郎に提案する。
「そうしていいよね」
「いいよ。じゃあ」
「じゃあ?」
「このことをお願いしていいかな」
こうした場面でも熱くなる総一郎だった、何か燃える感じで富美加に言う。
「富美加ちゃんと一緒にいたいって」
「えっ、それって」
「いいかな」
あらたねて富美加に言う。
「僕確かに富美加ちゃんと一緒にいるjけれど」
言葉は現在進行形だった。そのうえでの言葉だ。
「それでも進展なかったじゃない」
「自分でそう言っちゃうの?」
「こうしたことは男から言わないと」
熱さにスイッチが入っていた、そのうえでの言葉だった。
「そうじゃないかな」
「ううん、よく言われるけれど」
「そう、僕富美加ちゃん好きだよ」
熱さがさらに進む。
「けれどどうして好きなのか」
「ええと、私を好きな理由は」
「可愛い、それに性格も明るくて」
確かに富美加の性格は明るい、その明るさで男子からだけでなく女子からも人気だ。それで梨香子も親友でいるのだ。
その
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