蒼井晶であきらっきー
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あるその人物は、にっこりと笑った。
「初めまして! 蒼井晶です!」
上ずった声で、晶というモデルは名乗った。
「こういう喫茶店でのお仕事は初めてで、緊張しています! よろしく!」
「ははははは、はい……よしろくお願いします……」
ガクガクに震えているチノが挨拶した。
昌は少し驚いたように固まっていたが、すぐに「よろしくお願いします!」と返した。
「それじゃあ、スタンバイお願いします!」
スタッフの一声により、このモデル、晶を主役にした撮影が開始された。
来たはいいものの、すぐに晶の撮影に入るわけではない。
スタッフとタカヒロが、段取りの最終チェックを行う間、晶はココアの自室にて待機となっていた。
その彼女の相手を、ココアとともにハルトがすることになっていた。
「とりあえず、こちらどうぞ」
そう言いながらココアは、クッキーを入れた皿を差し出した。
晶は両手を叩き、満面の笑みで言った。
「わぁ! 美味しそう! いっただきまーす!」
小さなクッキーを食べながら、晶は嬉しそうな声を上げた。
「うわあ! 美味しい! 最高! こんなものを食べられてあきらっきー!」
「あきらっきー?」
聞きなれない単語に、思わずハルトは聞き返す。
一瞬舌打ちが聞こえた。
「え〜? 知らない? あきらの決め台詞、あきらっきー! ラッキーなことが起こると、あきらっきーって言うんだよ?」
「へえ……ココアちゃんも言う?」
「友達が何回か言ってたよ!」
「あやっぱり?」
晶がココアの手を掴む。
「やっぱりいい言葉だよね? あきら、とっても嬉しい! あきらっきー!」
晶がココアの手を振った。ココアは最初は驚いていたが、すぐに順応し、一緒に手を振った。
「面白いね晶ちゃん! 私の妹にならない?」
芸能人に凄いこというなと思っていると、晶が唖然とした顔をしていた。
だが、流石はモデル。すぐに笑顔になり、
「うん! 面白そう!」
すると、当然のごとくココアはテンションが上がっていく。
「嬉しい! こんなに面白い人、中々いないから! あ、化粧室借りていい?」
「あ、ここの外の廊下を右だよ」
「ありがとう!」
晶はそう言って、部屋を出ていった。
ハルトはそれを見送りながら、ぼそりと呟やく。
「ああいうアイドルとかモデルって、トイレ行かないものだと思っていたよ」
「それいつの話? ハルトさんも結構流行に鈍いねえ」
「そんなことないよ。……ん?」
ハルトは、ポケットの中から聞こえてくるバイブ音に気付いた。
「あれ? 可奈美ちゃん?」
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