第百七十四話 冬の嵐その六
[8]前話 [2]次話
「何があってもね」
「これは手放さないことだ」
「いいわね」
「わかった」
英雄は奈央のその言葉に頷いた。
「それは前から握っていたが」
「これからもね」
「幕府のものとする」
「軍とお金はね」
この二つはというのだ。
「そのまま力になるわ」
「どの世でもな」
「この二つをしっかりと持っていれば」
「世を一つに出来るな」
「国を乱さず一つにする」
その為にはというのだ。
「その二つを握ることよ」
「それでやっていけるな」
「そして私達はその二つを握っているから」
だからだというのだ。
「やっていけているのよ」
「そういうことだな」
「だからね」
「これからもだな」
「この二つは手放さないことよ」
兵権と貨幣鋳造権はというのだ。
「絶対にね」
「国を一つにしたいならだな」
「どっちもね、武力と財力はね」
「まさに力の源だな」
「そう、逆言えばこの二つがないと」
その場合はというと。
「もうね」
「国は保てないな」
「実際にそれで滅んだ国は多いわよ」
兵権と貨幣鋳造権を失ってだ、ビザンツ帝国も地方の領主が勝手に貨幣を鋳造しだした頃にはもう分裂状態だった。
「どちらか片方を失ってもね」
「滅んできたな」
「クーデターを起こされるのも」
それで失脚するのもというのだ。
「やっぱりね」
「兵権をしっかり持っていないからだな」
「軍隊を掌握していたらね」
それならとうのだ。
「当然ね」
「武力によるクーデターはな」
「起きないわ」
「そうだな」
「それにですね」
紅葉も言ってきた。
「その二つを持っていれば国が乱れることもです」
「ないな」
「はい、治安も国防も」
「経済もな」
「予算も」
「乱れずにな」
「それだけで落ち着いて」
そしてというのだ。
「国を治められます」
「軍がしっかりしていれば治安もいい」
「近代国家では警察ですが」
「そして国もな」
「守れます」
外敵も退けられるというのだ。
「そしてお金がしっかりしていますと」
「経済も安定する」
「そしてです」
さらにというのだ。
「予算もです」
「組みやすいな」
「間違っても物々交換では」
そうした経済状況ならというのだ、中国三国時代の魏は銅山を持っていなかった為に自国で貨幣を鋳造出来ず常に貨幣不足に悩み物々交換も行っていた。後の五胡十六国時代は経済自体が崩壊してさらに多くなっていた。
[8]前話 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ