第六章
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「便秘なのね」
「中学の時からそうなんです」
つまりデビュー前からだというのだ。
「本当に困ってました」
「そうね。けれどね」
「色々なことを改善すればですね」
「治るのよ。それじゃあね」
「はい、それじゃあ」
「撮影頑張ってね」
志津子は笑顔で優子にこの言葉を贈った。
「きっと凄い写真集になるからね」
「凄いのにですか」
「トップアイドルのはじめての水着写真集よ」
これだけでネームバリューは充分だった。
「しかも下着まであるとなるとね」
「話題になるんですね」
「ならない筈がないから」
このことには志津子も絶対の自信があった。
「もうね。人気がさらに上がるから」
「そうなるんですね」
「これまでのトップアイドル、そしてね」
それに加えてだった。
「今の女優さん達の多くもね」
「かつては水着になってですね」
「話題になって。人気が出てね」
そしてだというのだ。
「今に至るからね」
「それに下着もですね」
「下着は水着よりも刺激的よ」
デザイン的には変わらない。しかし下着というだけで人、とりわけ青少年達は見てしまう。水着がちらりと見えるよりも下着の方に見てしまうのだ。
それでだ。志津子も言うのだ。
「だからこれからはね」
「下着にもなって」
「そう。人気をどんどん上げtていくわよ」
志津子は燃えていた。その目を輝かせての言葉だった。
「いい?アイドルの道はね」
「果てしないんですね」
「そうよ。終わりのないものよ」
それがアイドルの道だというのだ。
「上を幾ら上ってもね」
「終わりがないものですね」
「そう。だから上がっていくわよ」
こう言うのだった。上を見ながら。
そのうえで優子を隣に置きさらに言った。
「何処までもね」
「わかりました。それじゃあですね」
「アイドル道は女道」
志津子の持論だ。いつも優子に言っている。
「慢心は赦されない。何処までも果てがないから」
「水着になることもまた、ですね」
「その上っていく一環よ。わかったらね」
「はい、私水着になります」
便秘を乗り越えた。それならばだった。
優子もまた上を見上げる。そして志津子に言うのだった。
「そしてアイドル道を何処までも上っていきます」
「ええ、そうしましょう」
こう二人で誓い合ってであった。
優子は水着になりアイドルとしてさらに高みを目指すことにした。水着はアイドルにはなくてはならないもの、その為には便秘は何があろうとも克服しなければならずまた克服できるということも知ってそのうえで。
水着だけは嫌 完
2012・8・26
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