第百七十四話 冬の嵐その二
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「何もしない政権なぞです」
「滅びて当然だな」
「治める資格なぞありません」
「まさに無能だな」
「その最たるものであり」
「滅びて当然だな」
「そして滅ぼしてです」
民も国も放置する、その様な政権はというのだ。
「何も悪いことはありません、そして逃げることも」
「その政権にいてだな」
「どうしようもなく変えられないなら」
その状況をというのだ。
「せめて自分が難を逃れるべきで」
「逃げるべきだな」
「命あってはという場合もあるので」
「それでだな」
「その政権を変えられないなら」
それならというのだ。
「逃げてです」
「捲土重来を測るべきか」
「一人でも多く連れて」
自分の出来るだけというのだ。
「そうしてです」
「それも人の道か」
「自分を守ろうとしない政権に何の忠義が必要か」
「変えられるなら変えてか」
「変えられないならです」
「逃れてか」
「別の場所で勤めを果たすべきです」
謙二は英雄に話した。
「その場合は」
「叛乱を起こしてもいいか」
「そうした政権叛乱を起こしてもです」
例えそうしてもというのだ。
「よいのです」
「徳を失くしているとなるか」
「儒学の考えでは」
所謂易姓革命だ、徳を失った王朝を倒し新たな王朝が立つ。中国の歴史はこの考えに基づき動いてきた。
「そうなります」
「孔子の考えは時として過激になるというが」
「それは一面において事実です」
「徳を失くしたつまり民も国も守ろうとしない政権はか」
「倒されて当然です」
「そして俺はそうなってはならない」
英雄は自分の心に刻み込む様にして述べた。
「そうだな」
「そうなります」
「そうなってはこの世界を救うなぞな」
「出来る筈もないので」
そうした考えになるというのだ。
「どうかです」
「ここはだな」
「北陸攻めの用意と共に」
それと合わせてというのだ。
「政もです」
「行っていくことだな」
「どうか」
「ではな」
「さて、その政っちゃが」
愛実も言ってきた。
「出陣中も印を押していたっちゃが」
「出陣していたからな」
「やはりそちらの仕事は溜まっているっちゃ」
そうなっているというのだ。
「だからっちゃよ」
「ここはだな」
「どんどんっちゃ」
「印を押してな」
「裁決をするっちゃ」
政のそれをというのだ。
「いいっちゃな」
「ではな、最初は書類仕事は苦手だったが」
それでもとだ、英雄は述べた。
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