ターン33 過去からの迷いし刺客
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そして引き抜かれた、最後のドローカード。当然のような顔で、その1枚がフィールドに繰り出される。
そしてそれは比喩ではなく、彼女にとっては実際に当然のことだった。彼女がこのデュエルに敗北する可能性があったのは、先ほど引戸が攻勢に転じていた1ターンのみ。そこを耐えきったことにより、全ての流れは彼女へと傾くことになる。それを当然とする力こそ、彼女を『赤髪の夜叉』として一線級のプロの地位を欲しいままにしてきた最大の理由。結局のところ最後に物を言うのは、どれだけ流れを自分に引き寄せるかなのだ。
そしてことその分野に関して、彼女の持って生まれたセンスはずば抜けていた。
「まず、イピリアを召喚。1ターンに1度、このカードが場に出た時にアタシはカードをドローできる」
イピリア 攻500 爬虫類族→アンデット族
次に引いたカードを一瞥し、指先だけでそれを表に向ける。対で呼び出されたモンスターは、白いコートに身を包み、白い帽子を目深にかぶった保安官風のモンスター。
「光属性モンスター、サイバース・ホワイトハット。このカードはアタシのフィールドに同じ種族のモンスターが2体以上存在するとき、手札から特殊召喚できる」
サイバース・ホワイトハット 攻1800 サイバース族→アンデット族
「アンデット族が3体、か。それにサイバース・ホワイトハット……これは、最後の最後で俺の読み違い、か」
「そういうことだな。ま、やっぱりアタシに挑むには百年早かったってこった。アンデット族となったバージェストマ・カナディア、イピリア、サイバース・ホワイトハットの3体をそれぞれ上、左、下のリンクマーカーにセットする」
召喚されるのは、アンデット族2体以上を素材に指定する闇属性ではないリンクモンスター。アンデットワールドに揺らめきだした明るいオレンジの炎が、女領主の赤髪を照らし出す。
「戦場に開く妖の大輪よ、暗き夜を裂き昏き世照らす篝火となれ!リンク召喚、リンク3!麗神−不知火!」
麗神−不知火 攻2300
炎を放つ両刃の薙刀の軌跡が、ゆらり揺らめく円を描いた。その持ち主は腰まで届くつややかな黒髪をうしろに靡かせる、1人の女性。芯の強そうな顔に決意を秘め、歩を進めるたびに音もなく彼女の炎の色をした和装と、そこに浮かんだ不知火流の紋様が揺れる。ちりん、と頭に付けた鈴の髪飾りが、狂気と動乱のアンデットワールドには似つかわしくないほど透明な音を立てて鳴った。あるいはそれぐらいの我を通すことができるからこそ、この地にあって正気を保ち続けていられるのかもしれない。
「そして、リンク素材として墓地に送られたサイバース・ホワイトハットの効果を発動。このターンに限り、相手モンスター全ての攻
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