ターン33 過去からの迷いし刺客
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」
アークネメシス・プロートス 攻2500→???
青い鱗を持つ単眼の蛇のような古代生物が、今まさにブレスを放とうとしていたプロートスへと巻き付き動きを止める。その動きは先ほどのハルキゲニアに酷似していたが、この場合はステータスの下降ではなく裏守備にするため攻撃そのものを抑えつけることができる点で異なる。
「本当に往生際が悪いな?メイン2にプロートスを反転召喚……いや、プロートスの守備力は3000。ならばこのまま伏せたままに……」
裏守備となったプロートスの挙動に、ごくわずかに揺れる引戸。確かにこのままセットしておけば高い守備力によって戦闘には強く出ることができるが、反面効果破壊耐性は使えない。ステータスを取るか、耐性を取るか。そして糸巻のデッキは、そのどちらも可能なつくりとなっている。一長一短の選択肢だが、だからこそ頼れるものは自分の勘しかない。
そして引戸が選んだのは、効果耐性だった。手札1枚、たった今引いたばかりのカードの存在にやや強気になっていたということもある。
???→アークネメシス・プロートス 攻2500
「……反転召喚。カードを伏せ、ターンを……」
「おっと。トラップ発動、バージェストマ・オレノイデス!今伏せたそのカードを破壊する!」
しかし引戸の慢心は、たとえどれほど小さくてもその隙を決して逃さない狩猟者、糸巻の目からは逃れられなかった。赤茶色の三葉虫が飛び掛かって伏せられたばかりのカードを押しつぶし、同時にバージェストマ共通効果によりカナディアがモンスターとして蘇ることで場に最低限のモンスターを残す。破壊したカードを何気なく見て、糸巻がふうと安堵の息をついた。
「岩投げアタックの2枚目か?危ないもん伏せてやがるな、アタシのライフじゃ500バーンでも十分な引導火力だぜ」
「戦闘と効果、二段構えでとどめを刺せる布陣だと思ったんだがな。2つとも平気な顔で乗り越てくるとは、その化け物じみた生命力は健在か」
「褒めてんのか馬鹿にしてんのかはっきりしてくれ。だが、今のターンは実際惜しかったな。アタシ相手に1ターン防御で手いっぱいにさせたのは見事だった、一緒に仕事してた時もアンタがこんな強かったとは思わなかったぜ」
「お前が相手のことを褒めるようなときは、大体ろくなことを言い出さないから素直に喜べないな。それで?今度は何を言い出してくれるんだ?」
「あー?別に、単純な話だよ」
どこか和やかな、旧友同士がじゃれあうような会話。半ば諦めたように肩をすくめる引戸に対し、糸巻が彼女にしては珍しく毒気のない笑みを浮かべつつゆっくりとデッキトップに手をかける。
「さっきのターンで仕留めきれなかった以上、アタシは今から反撃する。残念だったな、最後のチャンスもこれで時間切れだ」
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