第二章
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「いつも」
「いつもよ。アイドルはね」
「水着になることも必要ですよね」
「水着になることがファンに応えることなのよ」
これは昔からだ。
「だからいいわね。水着にね」
「ならないと駄目なんですよね」
「けれど優子ちゃんもうずっとじゃない」
志津子は困った顔で話していく。
「それこそね。だから今度こそは」
「けれどそれは」
「優子ちゃんスタイルいいし」
志津子はマネージャー、それもデビューから受け持っているだけによく知っていた。優子のことは何でも。
「胸も大きいじゃない。お尻も可愛いし」
「有り難うございます」
「有り難うじゃなくてね」
それだけではないというのだ。
「それだけのもの見せなくてどうするのよ」
「ファンの皆さんに」
「そう。あえて言わないけれど」
志津子もまたこのことを言う。
「水着とか下着とかがファンの人達にどう使われるか」
「それは」
「わかってるわよね」
「はい、グラビア自体がそうですから」
実際に優子もわかっていることだった。このことは。
「わかってます」
「グラビア自体がそういう目的で見られることがわかってるのならね」
「水着や下着も」
「いいじゃない。なっても」
「けれどそれは」
どうしてもだった。優子は俯いて困り果てた顔で言うのである。
「すいません」
「駄目なのね」
「ちょっと」
「私が見たところ」
本当に仕事の時はいつも一緒でプライベートでもだ。それで言うのだ。
「優子ちゃんとよく一緒にお風呂入ってるじゃない」
「はい」
「奇麗な身体じゃない」
傷一つない。そういう意味でも奇麗な身体だ。
「充分よ」
「有り難うございます」
「だからお礼はいいの。とにかくね」
「水着にも下着にも」
「見られなくない傷があるのはいいのよ」
その場合は志津子も言わなかった。どうしてもだ。
「その場合はね」
「そうですか」
「けれどそれがないなら」
そしてアイドルならだというのだ。
「絶対にね」
「水着ですか」
「水着にならないと駄目なのよ。それとも本当に水着になれない理由があるの?」
志津子はこのことを真剣に考えだした。
「優子ちゃんに何か」
「それは」
「あったら言ってね」
マネージャーとしてだけでなくパートナーとしてもだ。優子は言った。
「本当にね」
「いえ、それは」
「ないならいいけれどね」
「特に」
「とにかく。今回のお仕事の依頼はね」
グラビア、その水着の話だ。
「写真集にもなることになってるから」
「写真集ですか」
「凄く売れるから」
このことも確実視されていた。
「優子ちゃんにとってもいいことだからね」
「そうですよね。それは」
「本当に考えてね。水着になることもア
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