第二百八十二話
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第二百八十二話 報酬
カーミラは日本の妖怪達を招いたうえでの寿司と美酒の宴を堪能した、その後で妖怪達を見送ってから寿司職人の老人に報酬を支払ったが。
職人はその報酬に驚いて言った。
「あの」
「どうしたのかしら」
「この報酬は」
「少なかったかしら」
「三百万ですよ」
その額を言うのだった。
「多過ぎますよ」
「そうかしら」
「そうですよ、あれだけ握っただけだってのに」
「三百は握ってもらったわね」
「それで三百万なんて」
流石にというのだ。
「一貫で一万ですから」
「高いのね」
「報酬としては」
「そうなの。けれどわざわざ来てもらって握ってもらったから」
だからだとだ、カーミラは職人に微笑んで答えた。
「だからね」
「それで、ですか」
「気にしないでね」
遠慮せずにというのだ。
「そのうえでね」
「受け取っていいのですか」
「そうよ」
まさにとだ、カーミラはまた職人に話した。
「そうしてくれると嬉しいわ。交通費も出すし」
「そうですか」
「ではまたね」
「こうした時があればですか」
「来てくれるかしら」
職人に対して問うた。
「よかったら」
「呼んで頂けるなら」
「ではね。では三百万円に」
それにとだ、カーミラは職人にさらに話した。
「交通費の一万円もね」
「それもですか」
「渡すわね」
「何かと太っ腹ですね」
「私には何てことはないわ」
あくまでこう言うカーミラだった、そうして。
職人にお金を支払って帰ってもらった、そうして使い魔達に話した。
「驚く位安かったわね」
「はい、宴は日本のお金で億が普通です」
「これ位で済むのなら」
使い魔達も言う、職人に払った三百万円余りの他にも金は使った。だがカーミラの資金を以てすればそれは実に些細なものだったのだ。
第二百八十二話 完
2020・7・19
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