第十一幕その一
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第十一幕 お菓子の国
一行は遂にお菓子の国をその目に見ました、つぎはぎ娘はチョコレートやクッキー、ビスケットやラスクで出来た城壁や門、塔や吊り橋を見て言いました。
「あと少しよ」
「ええ、あと少しでね」
ドロシーがつぎはぎ娘に応えます。
「着くわ」
「そうよね」
「もう見えてるから」
そのお菓子の国がというのです。
「だからね」
「本当にあと少しね」
「そうよ、ただね」
ここでドロシーはこうも言いました。
「バニャンさんが見当たらないわね」
「そういえばそうだね」
トトはドロシーの今の言葉に彼女の足元から応えました。
「あの人凄く大きいからね」
「もう見えると思うけれど」
「お姿が見えないね」
「そうよね」
「あれでしょ、寝てるのよ」
つぎはぎ娘が言ってきました。
「だからね」
「お姿が見えないっていうの」
「そうでしょ、もうここに来てる筈よね」
「あの人の動きは凄く速いから」
ただ大きいだけでなくです。
「だからね」
「そうよね、もう着いてる筈だから」
それでというのです。
「それでお姿が見えないのはね」
「寝てるのね」
「そうに決まってるわ」
「じゃあ」
「バニャンさんに会う為にも」
今はお姿が見えないにしてもというのです。
「お菓子の国の中に入りましょう」
「わかったわ」
ドロシーはつぎはぎ娘の言葉に頷きました、そしてです。
皆でお菓子の国の正門の前まで来ました、するとウィンキーの国の黄色い軍服を着て銃を持った兵隊さんがです。
ドロシー達に敬礼してから笑顔で応えました。
「お待ちしていました」
「オズマからお話は聞いたけれど」
「はい、もうです」
兵隊さんはドロシーに答えます。
「国ではです」
「私達を歓迎してくれてなの」
「パーティーの用意が出来ています」
「じゃあ私達が中に入ったら」
「その瞬間にです」
まさにというのです。
「パーティーのはじまりです」
「そうなるのね」
「左様です、では今から」
「国の中になのね」
「お入り下さい」
「わかったわ、ではね」
ドロシーは兵隊さんに応え皆を連れてそのうえで、でした。
下げられた跳ね橋、クッキーで出来たそれの上を通ってお菓子の国の中に入りました、するとその中は。
チョコレートやビスケット、クッキー、ラスク、スコーン、キャンデー等で出来たお家や建物が立ち並び。
甘いミルクやお茶、様々な種類のジュースが出て来る水道や水路、お池や川があってです。木々にはケーキやプティング、アイスクリームが実っています。
畑には桃饅頭や三色団子、マーラーカオや羊羹が出ています。国全体が甘くてとても美味しそうな香りに包まれたその国の至
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