妖精さんと昔話
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され、南方の玄関口・ブルネイに飛ばされたのが俺だ。しかも生粋のドジっ娘と噂の秘書艦付きで。
「あの頃はここもオンボロでなぁ。まずは戦力拡充の為の建造しつつ、古くなった建物の修理から手を付けなきゃならんかった……」
そんな時、妖精さん達とあーでもねぇこーでもねぇと艦娘達が過ごしやすい環境を作ろうと議論を交わした。職場環境ってのはやっぱり、モロに成果に影響するからな。
「それでもしきんもしざいもたりなかったです?」
「しょくりょうなんのじだいです?」
「あのじきはものづくりだけがたのしみでしたです」
「あの頃はホントに食うものが無くてな。シーレーンはガタガタでまともに補給が来ねぇし、俺本土の連中に嫌われてたから予定より中身が少ねぇとかしょっちゅうだったし」
そりゃ当時の将官クラスの人間に直接スカウトされたトーシロが、いきなり前線の指揮官だもの。所謂エリートの皆様にゃあ目障り極まりなかったろうさ。
「でも、物資の中抜きなんて……」
「出来たんだよ、当時は。何しろ輸送作戦の成功率が5割未満の頃だぞ?途中で敵に襲われて喪失しました、って言われたら証明のしようがない」
実際、それで横領しないで他の鎮守府に回してた辺り、少しはマシなんだろうが。
「それでなくても艦娘は肉体労働だからな、必要なカロリー量は多い。常に食糧難でな、飲食店やらコンビニやら回って、廃棄品の弁当やら何やら必死こいて掻き集めて回ったっけ」
「ありましたねぇ」
「てーとくさんからものごいさんにジョブチェンジです?」
「いっぱいさかなもとったですよ?ばくらいで」
「えっ」
「おい、それは内緒っつったろ?」
「そうでした」
「やっちまったー」
……まぁ、生きるために必死だったと言うことで見逃してくれ。
「まぁ、そんな中でも一番苦労したのが妖精さん達への労いだ。何しろ普通の飯はほとんど食わんし、基本的に嗜好品があればいいって人達(?)なのに、最前線にそんなの届くわけがねぇというな」
「でもてーとくさんはじゅんびしてくれたです?」
「あのころのぎゅうかんはうまかったー」
「なつかしのあじですー」
「ぎゅうかんって……牛缶ですか?秋月さんや秋雲さんの好物の」
「あぁ、違う違う。牛缶……牛の大和煮の事じゃねぇよ。牛乳寒天、牛乳を砂糖溶かした寒天と混ぜて固めたお手軽デザートさ」
こいつに配給でたまに回ってくるフルーツの缶詰を入れてやって作ってたのが、当時のご馳走というか数少ない甘味だったっけ。当時は材料もロクに揃えられなかったから、間宮にも随分苦労を掛けた。何しろまともに間宮が甘味処の主として存分に力を発揮できるようになったのは鎮守府の運営
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