???
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、この瞬間だけは忘れられる。
そう、全てを。この先に待つ、全てを…。
「おじさーんまたねー!!」
子ども達が俺に大勢で手を振る。
俺は笑顔で手を振り返し返事する。
「ああ、またなー!」
施設長も顔を出し俺に声をかける。
「???くんありがとう。子ども達に楽しい遊びを教えてくれて」
「いえ、俺が教えられるのはこの遊びくらいですから。俺はサッカー一筋でしたからね」
「とんでもない元プロ選手の???くんから直接サッカーを教えてもらえるなんてあの子達も嬉しいと思いますよ」
「そうでしょうか…」
俺は照れたように頬をかく。
「あの子達には俺が見れなかった景色を見て欲しいんです」
「景色?」
俺は施設長の言葉に頷く。
「俺は確かにプロ選手でした。あの子達の中からもしプロサッカー選手が産まれたら俺の見れなかった世界を見て欲しい」
施設長は俺の言葉に微笑む。
「あの子達なら見せてくれますよ夢を。あなたの息子さんもそうでしょう?」
施設長の言葉に頷く。
「ええ、俺の息子にもこれから辛いことが沢山待っているだろうけど、あの子達と世界を見て欲しい。いや、世界を取って欲しい!」
「世界を取るですか…!大きく出ましたね!」
「俺は怪我で現役を引退してしまったんで、無理しない程度に頑張って欲しいですね」
そんな会話をしながら俺は施設を後にした。
「楽しい時間とはあっという間だ」
俺はふと呟く。
「父さーん!!」
「待たせたな」
俺は家族の元へと着いた。
この日はみんなで外食しようと、仕事帰りの道で待ち合わせをしていたのだ。
「あら?何か楽しいことがあったあなた?」
妻も温かい言葉で俺を迎える。
この言葉に俺は涙が出るのを抑える。
また、また俺は大事な人を…。
何回目かもわからない、この天国から地獄へと堕ちる瞬間。
タクシーを拾い、道を走って行く。
タイムリミット。
グァァァン!!グジャ!パリィィン!!
………。
「……」
涙を拭いて俺は立ち上がった。
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